【2008年4月23日】
ユニセフ東京事務所は、2008年3月11日より日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)が実施している「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを心より支持します。
ユニセフ(国連児童基金)は「子どもの商業的性的搾取」を児童労働の最悪の形態のひとつ、また現代における奴隷制度の形と考え、この問題を解決するために世界中で活動を続けています。
日本ユニセフ協会は、1996年にスウェーデンのストックホルムで開催された「第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」以降、日本における子どもの商業的性的搾取を根絶する活動の先導役を担ってきました。
政府・市民一丸となって取り組んだ反子ども買春・ポルノ・人身売買キャンペーンの結果、1999年、「児童買春・児童ポルノ等禁止法」が制定されました。また、2001年には第2回世界会議が横浜で開催され、2005年、日本政府は「子どもの売買、子ども売買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」を批准しました。同じく2005年、コードプロジェクト(子ども買春防止のための旅行・観光業界行動倫理規範)が発足し、日本の旅行・観光業界は迅速な活動を実施してきました。日本ユニセフ協会は、これら全ての取り組みにおいて重要な役割を果たしてきました。
このように様々な前進や成果は見られましたが、子どもたちを性的搾取から守るために、まだまだやらなければならないことがたくさんあります。国連による「子どもに対する暴力に関する調査」は、新たな技術の普及など、世界の環境の急速な変化によって、搾取の被害を受ける子どもが増えていることを指摘しています。
子どもポルノは世界的に深刻な問題となっています。児童失踪・児童虐待国際センター(ICMEC)によると、インターネットによって加速されている子どもポルノに関連した産業の売り上げは、世界中で数十億ドルにもなると言われています。また、子どもポルノの写真やビデオを用いたサイトは10万以上に上るという推計もあります。国際刑事警察機構(ICPO)は、違法にインターネット上に掲載された子どもポルノ画像データが50万件以上もあることを確認しています。そして、数多くの異なる国籍の子どもが誘拐の被害にあっている米国では、このような犯罪は子どもポルノの所持と強い関連性があることが証明されています。
昨年、東京で開催されたユニセフの公開シンポジウムには、シルビア・スウェーデン国王妃陛下がご臨席され、日本における子どもポルノの問題にさらに力を入れるよう呼びかけました。妃殿下はユニセフの心強いサポーターであるとともに、子どもたちを商業的性的搾取から守るための活動の提唱者としても知られています。また、トーマス・シーファー駐日米国大使は、今年の1月、日本の新聞で発表した論文の中で、日本で子どもポルノの単純所持を法律で禁止することにより、子どもの性的搾取の根絶に取り組むよう呼びかけました。
ユニセフ東京事務所は、子どもたちにとってよりよい世界をつくるため、日本の皆様の協力を呼びかける日本ユニセフ協会の活動を支持します。2008年11月には、ブラジルで第3回世界会議が開催されますが、これは私たちの取り組みをより一層強化するための素晴らしい機会となることでしょう。