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<2001年10月22日 信濃毎日新聞掲載> 不衛生な環境 さらに厳しく
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パキスタン北西部の都市ペシャワルから南西に45キロ、アフガニスタンとの国境に近い荒れた丘陵地に、日干しれんがを積み上げただけの粗末な住居がひしめいています。ここは、ニューシャムスハット難民キャンプ。昨年、干ばつと内紛の続くアフガニスタンから逃れ出てきた人々のためにつくられた難民キャンプです。既に5万5千人もの難民が肩を寄せ合って暮らしていますが、米国での同時多発テロ事件の影響で、状況はさらに厳しいものになると予想されています。
12歳になるカンは、この難民キャンプにお母さん、3つ年上のお兄さん、2つ下の妹と4人で暮らしています。難民キャンプの中にはNGOが運営する学校がありますが、カンもお兄さんも通っていません。二人は、毎日10−12時間、ごみの中から紙やプラスチックなど再利用できるものを拾い集め、それを売って家計を助けています。「稼げるお金は、お兄ちゃんとぼく二人合わせても一日50円から60円くらいだけど、それでも家族のための大切なお金なんだ。ほんとは学校が好きだけど」
ここ数日、カンは熱と体の痛みが続いています。「夜になると熱が上がるんだ。ぼくはどうなるんだろうと思うとすごく怖い。でも昨日、診療所に行って薬をもらえたから、きっと良くなると思う」。そう話す唇ははれ、声はかすれています。
難民キャンプの診療所で子どもたちの診察にあたっているアクバル医師は「キャンプの不衛生な環境は、子どもたちの健康に深刻な影響を及ぼしています。呼吸器系の疾患、下痢、赤痢、皮膚のただれなどが、子どもたちの間に広がっています」と訴えます。
ユニセフは、アフガン難民の子どもたちに対し、医薬品、栄養補助食、テント、毛布、衣類などの緊急支援を展開していますが、冬を間近に控え、さらに多くの支援が必要とされています。
日本ユニセフ協会は「アフガン難民緊急募金」を受け付けています。