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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アフガニスタン:
人口の3〜4割が保健ケアを利用できない
ユニセフ支援で、移動診療チームと病院設備の充実化

【2014年3月12日 アフガニスタン・ヘラート発】

本記事で紹介されているユニセフ・アフガニスタン事務所の保健専門官ナスリーン・ハーンは、2014年1月17日にカブールのレストランで起こった痛ましい攻撃で命を落としました。ユニセフは謹んで哀悼の意を表します。

* * *

アフガニスタン・ヘラートの奥地、チャガタイ村の子どもたちが遠方に立ち込める土煙に気づき、歓喜の声をあげながら村の広場を走り回っています。

その巻き上げられた土煙は、車が村に向かっているということのしるしです。ビビ・グル・モーマンドさんと移動チームの保健員が、小さな救急車で村にやって来ました。ビビさんは村に着くと、子どもたちをモスクに集めました。そして、子どもたちや女性の健康問題を診察するため、数時間だけの簡易診察所を設置しました。 研修を受けた助産師のビビさんは、最寄りの病院や保健センターから25km以上離れたところにある村をチームで訪れます。命を守るための支援へのアクセスが困難なチャガタイ村などの農村部に住む女性や子どもたちを戸別訪問し、必要なケアを行います。

「ここは保健施設からあまりにも遠く離れているので、住民は通うことができません。時には病気で命を落としてしまうこともあります。ですから、私たち自身がここを訪れ、支援を行っています」と、1,000人以上の赤ちゃんの出産に立ち会ったビビさんが語ります。

人口の3〜4割が保健ケアを利用できない

診察をするビビさん
©UNICEF Afghanistan/2014/Madhok
ヘラート州のチャガタイ村で女性の診察をする助産師のビビさん。

アフガニスタンは、世界で最も出産に危険が伴う国のひとつで、出生10万人あたり460人の女性が出産時あるいは妊娠中に命を落としています。そして、少なくとも10人にひとりの子どもが5歳の誕生日を迎えることができません。

ユニセフ・アフガニスタン事務所の保健専門官ナスリーン・ハーンは、保健サービスはあるものの、そのほとんどが都心に密集していると語ります。そのため、チャガタイ村のような農村部では、ほとんど利用することができません。

「アフガニスタンの人口の30〜40%が保健ケアへのアクセスがないことが、調査によって明らかになっています。重要なのは、保健サービスが提供されていても、これらのサービスの供給が公平に行われていないということです。たとえ保健サービスがあったとしても、農村部で暮らす女性や貧困にあえぐ女性は、それらを利用することができません」(ユニセフ保健専門官 ナスリーン・ハーン)

移動診療チームへの支援強化

ユニセフは保健省やパートナー団体と協力し、すべての子どもと女性が保健ケアを受けられるよう、支援体制を強化しています。ヘラートで活動するビビさんのチームなど、国中の移動診療チームへの支援も含まれています。

この移動診療チームは、助産師、予防接種の投与担当者2人、地域の保健監督官や保健員で構成され、無料でさまざまなサービスを提供します。たとえば、住民の予防接種状況の管理や、栄養状態と合併症のスクリーニング検査、基本的な医療の提供、栄養に関するアドバイスなどを行っています。

ヘラート州・ヘラート市にあるカハイリア・レザーイー産科病院では、更に深刻な問題も報告されています。

農村部の女性への支援

新生児治療室で治療をうける未熟児の赤ちゃん
©UNICEF Afghanistan/2014/Madhok
ユニセフが支援する新生児治療室で治療をうける未熟児の赤ちゃん。

ルクシャナさんは最近、カハイリア・レザーイー産科病院で女の子を出産しました。自宅からこの病院までは、でこぼこ道を通って5時間かかります。20歳のルクナシャさんは、これまでに3人の子どもを失っています。流産、あるいは助産師を伴わない自宅出産が原因です。だからこそ、病院で出産することを決めました。

「自宅出産で大量出血や、死産を経験している人もいます。無事に生まれてからも、子どもたちは健康問題で苦しんでいます。病気にかかり、肺炎などの病気で命を失っています」(ルクシャナさん)

ルクシャナさんは赤ちゃんを無事出産し、妊産婦が出産前後に滞在することができる、病院に近接した施設で過ごしています。ユニセフの支援により、医療施設のない人里離れた地域から出産に訪れる女性たちが、この施設で支援を受けています。この施設では妊婦や母親が出産前後に家族と一緒に滞在することができ、合併症などの場合に備えて医師が待機しています。

農村部に住む女性にとって、非常に心強いものです。

ユニセフは未熟児の赤ちゃんに医療ケアを提供するため、新生児治療室の設置にも資金援助を行っています。この治療室では、医師や看護師が24時間体制で待機し、緊急時には治療を行うことができます。

最も困難な状況下にいる女性や子どもに支援を

パートナー団体やビビさんのような献身的な保健員のチームと協力し、ユニセフは支援を届けることが困難な地域にも支援を行っています。

研修を受けたスタッフ、小さな救急車、設備が整った病院、そして不屈の精神で行う支援は、母親や赤ちゃんの命を守り、子どもたちが健康に育つ力となっています。

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