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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2004年1月27日信濃毎日新聞掲載≫

紛争が残した体と心の傷
<アンゴラ>

 アフリカ南西部の国アンゴラでは、2002年4月の停戦協定により、ポルトガルから独立して以来30年間続いた内戦に終止符が打たれました。しかし、長期にわたる紛争がこの国の保健や教育を崩壊させました。
 このため、4人に一人の子どもが5歳の誕生日前に命を失う子どもの死亡率は世界でも3番目に高く数えられ、就学年齢の子どもの約半数しか学校に通っていません。アンゴラの子どもたちを取り巻く環境は、世界でも最も深刻な状況に置かれているといえます。

 モシコ州の国内避難民キャンプで暮らすファニータは、今年17歳になる女の子です。彼女はウアンボ州の小さな村で生まれました。父親は、彼女が生まれる前に地雷によって命を失い、たった一人の兄弟だった弟は彼女が6歳のときゲリラに連れていかれました。ファニータと母親は武装した兵士たちから身を守るために転々と住所を変え、隠れるように生活していました。

 ある日、突然やってきた兵士が、目の前で彼女の母親をレイプした後に殺害しました。彼女が7歳の時です。そのまま兵士に連れ去られた彼女は、部隊で洗濯や料理をしながら直接戦闘に加わり、日常的な暴力と殺りくの中で生きてきました。彼女は兵士との間に2人の子どもをもうけましたが、父親が誰かは特定できません。一人の子どもは生まれた直後に死亡し、もう一人も病弱です。

 現在、ファニータは、このキャンプで今まで経験したことがない平和的な生活を送りながら、学校に通い読み書きを学んでいます。ファニータの話は、典型的なアンゴラの女の子の生い立ちといわれています。紛争が子どもたちの体と心に残した傷を消し去ることはできません。この国には、子どもの数とほぼ同数の地雷が埋められているともいわれています。

 平和が訪れた今、ユニセフの支援が必要な数多くの子どもたちの存在が明らかになりました。昨年は、ユニセフの支援で国家最大規模の予防接種と教育のキャンペーンが行われ大きな成果を得ることができました。子どもたちの未来のために、アンゴラの人たちとユニセフの取り組みは始まったばかりです。

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