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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

アルメニア:災害のリスクは全ての人に“平等”
包括的な教育の重要性を訴えるショートビデオ

【2013年3月14日 アルメニア発】

© UNICEFArmenia/2013/Schuepp
防災教育と包括的な教育の重要性を訴えるショートビデオを作ったマルガリータさん。作品には、自身も出演

災害リスクは、全ての人に“平等”なものです。ユニセフが主催する「One Minute Video」に参加したアルメニアのマルガリータさん(14歳)は、災害時のリスク削減をテーマに制作した1分間のビデオを通じて、障がいを持つ方々に関わる力強いメッセージを訴えてくれました。

アルメニア第2の都市ギュムリにある第一学校に通うマルガリータ・サルグシヤンさん(14歳)は、万が一の時に、自らの命を守ってくれるかもしれない様々な知識を学校で学んでいます。子どもたちは、災害リスクの削減(DRR)の授業を受けているのです。

“自然災害”は存在しない

DDRでは、この世に“自然災害”というものは無く、存在するのは、様々な要因で発生する“危険な状況”だという前提に立ち、基本的には予防の観点から、地震や洪水、干ばつ、サイクロンといった危険な状況がもたらす被害をいかに低減するかという点に焦点が合わせられています。

1988年に大地震に見舞われたギュムリの子どもたちにとって、DRRは、その趣旨が非常に理解しやすい授業です。地震発生から25年が経過した今でも、その痕跡を見ることができます。年配の方々は、今でも、地震で2万5000人が命を落としたことや、何万人もの人々が負傷し家を失った当時の様子を語ります。

先週、欧州委員会(ECHO)の支援を受けてユニセフが実施した「One Minute Video」ワークショップに参加したのは、マルガリータさんはじめ15人の若者たち。今回のテーマは、災害時のリスク削減のための教育(防災教育)です。子どもたちは、地域で発生した危険に直面した際の備えについてアイディアを持ち寄り、その最善策を伝えるストーリーを考えました。そして、その物語をビデオで撮影。60秒の作品に仕上げました。この5日間にわたるワークショップで制作された映像作品は、先月トルコのイスタンブールで開かれた国際会議で発表されました。ユニセフと欧州連合は、この「災害時のリスク削減」教育プログラムを、南コーカサスと中央アジアの計8ヵ国で支援。学校などの教育機関で実践されています。

『置き去りにしないで』

学校の「万が一への備え」やコミュニティの積極的な関与を促す中で、子どもたちが主導的に取り組む活動が、その中心的な役割を果たしています。家庭や施設などで、時にしてその存在すら隠されているような場合もある女の子や障害のある子どもたちも含め、全ての子どもたちが、地域社会との関わりを深めていくことは非常に重要です。

マルガリータさんの作品『置き去りにしないで』は、教室で撮影されました。地震が発生してクラスメートは一斉に走って逃げてゆく中、泣き始めるマルガリータさんに気付いた2人の男の子が、教室に戻り彼女を助け出すというストーリーです。

マルガリータさんは、車椅子を利用しています。1年前までは、障がいのある子どもたちのためのデイケア・センターで授業を受ける以外に、彼女に選択肢はありませんでした。そんな彼女は、昨年、首都エレバンで開催された「TEDxKids」という会議で発表する機会を得、その後、ユニセフの支援で、誰もが分け隔てない環境で教育を受けることができるギュムリの先進的な環境(=包括的な教育)を整えた学校に通うことができるようになりました。第一学校には、昨年の9月から通っています。

マルガリータさんの担任のノヤムザル・カチャロリアン先生は、学校やクラスメートの「温かい雰囲気」の中で、彼女は歓迎されていると話します。

「災害時のリスク削減」教育は、地理などの様々な教科を通じて子どもたちに教えられています。

包括的な教育(インクルージョン教育)

アルメニア政府は、ユニセフの支援を受け、2005年から教育法に「包括的な教育」を盛り込みました。現在、アルメニア国内で「包括的な教育」を実践する学校は、100校以上に上ります。

マルガリータさんは、今でも友達に会いにデイケア・センターを訪れていますし、それは大好きな時間の一つです。先日訪問した時は、自分が作ったビデオ作品や災害時のリスク削減教育の話も、友人たちにしてきたそうです。

アルメニア議会では、現在、アルメニア国内の全ての学校が「包括的な教育」を実践する学校にするための法改正の議論を進めています。障がいのある子を含む全ての子どもたちが将来への備えを学び、命を守るための知識を得ることができるようになる日が来るのも、そう遠い未来ではないかもしれません。

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