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バングラデシュ: ユニセフ職員、農村部の病院で活躍 〜 赤ちゃんの命を守れ!【2007年7月3日、バングラデシュ、チャウガッチャ発】
バングラデシュ農村部では、外科手術をすることは容易なことではありません。20歳のリピィさんは、チャウガッチャの地方総合病院へ行ったとき、お腹の赤ちゃんの命を守るには帝王切開をしなければならない、と言われました。でも、運の悪いことに、このような手術ができる医師はその病院にはいなかったのです。 「先生は、自然分娩では赤ちゃんの命がもたないかもしれないというのです。でも、いつ手術を受けられるのかも分かりません」。帝王切開を受けられるのか、心細い思いで待つ間、リピィさんはそう語りました。しかし幸運にも、ユニセフの母子保健プロジェクト担当官、モニラ・パルビーン医師が、その日病院で行われていた研修に偶然にも参加していたのです。研修に居合わせたもう一人の医師と共に、パルビーンさんと同僚のチョウハリー医師が手術を行い、リピィさんは無事赤ちゃんを産むことができました。「もし手術があと30分遅れていたら、赤ちゃんは助からなかったかもしれません」。パルビーンさんはそう話します。 病院を支援し、命を救う
最近、チャウガッチャ地方総合病院は、ユニセフと保健サービス総局が認定する「女性にやさしい病院」のひとつに認定されました。バングラデシュにはこのような施設が7つあります。ユニセフはまた、同国内の地方・地域レベルの緊急産科ケア施設192カ所にも支援を行い、提供されるサービスの質を向上させました。 バングラデシュは妊産婦死亡率が高く、毎年出産10万件あたり320人の女性が亡くなっています。電力や十分な照明、また血液を保存するための冷蔵庫など、手術に欠かせないものが不十分な場合が多いため、農村部の病院では外科合併症の発生が珍しくないのです。 「小さな病院には十分な備えがありません」。「もし合併症が起これば、近くの村から輸血用の血液を集めなければなりません。でもそれは、すぐにできることではないのです」。パルビーンさんはそう語りました。 バングラデシュでは、およそ10人に9人が、専門的技能を持つ人の付き添いを受けることなく出産をしています。ユニセフは、コミュニティによる支援システムの創設に取り組むとともに、HIV母子感染予防のための試験プログラムも実施しています。 しかし、バングラデシュ農村部の病院でお産をする多くのお母さんたちにとって、合併症を伴わない出産は、いまだに完全に保障されたものではりません。ユニセフは、チャウガッチャ総合病院のような女性にやさしい病院の認定を行い、緊急産科ケアサービスの強化に取り組んでいます。そのために、パルビーンさんのような医師たちは、努力を惜しまず働いているのです。 「リピィさんと赤ちゃんの命を救うことができて本当によかった」。パルビーン先生はそう語りました。 |