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援助の成果で予防接種率90%
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ヒマラヤ山脈東部、インドとチベットの間に隠れるように位置するブータン。ちょうど九州と同じくらいの面積を持っており、その人口は国連推定で160万人といわれています。「壮大な山々、豊かな密林、愉快な人々、空気もきれいで、宗教や芸術もすばらしい」とは、その魅力に取りつかれた人々が口をそろえて言う言葉。しかし、旅行者には魅力的に映る起伏の多い地形も、そこに住む人々にとっては厳しい生活条件となります。
現在ブータンには、東西に一本、南北に二本の国道があるのみです。しかしこの幹線道路、土砂崩れも頻繁に起きますし、冬場は降雪のため大型のバスやトラックは、3,800メートル級の峠を越えることはできません。こうした状況の中で行われるユニセフの援助活動。決して楽なものではありませんが、着実にその成果を挙げています。
その好例が予防接種。一昨年12月の「全国予防接種デー」には、ユニセフの保健担当官をはじめ、現地の保健医療関係者たちが、車ではもはや到達できない地域にまで、何時間も歩いて出向きました。近代医学に触れたことのない村人には、予防接種の有効性を説くところから始めます。理解に基づいたうえでの予防接種でなければ、次回の来院が望めないからです。こうした努力の結果、一昨年の予防接種率は90%を達成することができました。しかし深い山の奥には、まだ支援が届けられていない人々がいます。そうした地域にまで入り込み、予防接種率100%を達成するべく、ユニセフの努力は続きます。