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≪2002年6月17日掲載≫ 女の子のための学校外教育
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ジャーミンは学校外教育の2年間の課程を修了し、現在は中学2年レベルの学習をしています。ブータンの公用語ゾンカ語と、保健衛生、農業、酪農などといった日常生活に関わりのある科目を学んでいます。
彼女はとても大きな達成感を味わっています。教育を受けようと決心したことは、彼女がこれまでの人生で下した選択の中で最良のものでした。この学校外教育コースから得たものは何かとたずねると彼女はすかさず、全国版の週刊新聞を自信と誇りを持って読めること、いつでも新しい情報を知ることができること、そして故郷ルンツェの友人に好きなだけ手紙を書けることだと答えてくれました。
自分の実体験をもとに、ジャーミンは現在、教育の必要性と教育が、物質面、社会面、心理面で様々な恩恵を与えることを強く訴えています。自分が子供の頃、適切な時期にアドバイスが受けられなかったことの埋め合わせをするように、彼女は教育を受け続けることは大切であると妹に勧めています。ジャーミンの妹は、ジャーミンが小学校をやめたのと同じ10歳で小学4年生です。 ジャーミンは学校外教育のコースをすべて修了した後、仕立て屋になって店を持ちたいと考えています。
女子教育への支援は、ユニセフが取り組んでいる世界的優先課題のひとつです。ブータンでは、男女の不平等は他国と比べてそれほど顕著ではありませんが、データによると、男女間の就学率には大きな格差(男子82%、女子62%)があります。この傾向は、特に学校までの距離が遠く、毎日の通学が困難な辺境の地域で顕著になっています。学校に行くのに歩いて片道2〜3時間もかかり、途中で川を渡ったり森を抜けたりしなければならず、野生動物に襲われる危険があるところも多くあります。学校までの距離を考えて、親が危険にさらされやすい女の子の身を案じたり、さらに家事を手伝ったりしなければならないために、女の子が学校を辞めさせられることが多く、女子の就学率の低さに関係しています。
この問題に対処するために、ブータン政府はユニセフの支援を得て国内の山間・農村地域に近い場所にコミュニティー・スクールを開設する活動を実施し、教育の質の向上に努めています。
ユニセフの学習機会拡大プロジェクトは、学校に通えなかった若者やおとな、特に女の子・女性のために必要な対策を講じ、問題を解決することを目指しています。このプロジェクトは、教育を受けた経験がこれまでにない人びと、またはそうした経験がほとんどない人びとに学習する機会を提供し、指導技術を向上させるために教師向けの学習の機会を提供するという支援をおこないます。
このプロジェクトは、継続的な教育が正規の教育や学校外教育と共存できるような仕組みと組織的枠組みを確保するために、必要な国家政策の策定を促進するいくつかの戦略からなっています。ブータンの推定人口657,548人のうち、約50%が成人で、その識字率は60%です。ユニセフは、学校外教育プログラムの受講者ひとりにつき年間約30米ドルの支援をしています。