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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<信濃毎日新聞掲載 2003年6月17日(火)>

エイズ流行 母亡くした子の夢
<ボツワナ>


プテゴさんと、彼女の元に残された14人のうち4人の子どもたち HIV(エイズウィルス)のまん延で、母子感染や若者のHIV感染者が増加すると同時に、ユニセフによれば2000年までにエイズで親をなくした15歳未満の子どもは1300万人に達しました。そのうちの多くが南部アフリカの子どもたち。こうした「エイズ孤児」は、2010年には2倍近くの2500万人に上ると予測されています。

南部アフリカの国々では、ここ10年間で平均寿命が10歳も短くなるほど、エイズが流行しています。国連人口局によると、南アフリカ共和国の北に隣接するボツワナでは近年、エイズの急速な広まりで、平均寿命が56.3歳(1995‐2000年)から39.7歳(2000-2005年)に低下しています。

家庭を支えていた人がエイズで亡くなることで、残された家族には大きな負担がかかります。ボツワナの首都ハボローネから西へ50キロの町、モレポローレに住むオデス・プテゴさんは、14人のおいとめいを引き取っています。5人姉妹の長女で物腰のやさしい51歳のプテゴさんは、妹たちをみなエイズで亡くしました。

彼女は、ボツワナ政府のプログラムに登録し支援を期待するものの、社会福祉指導員は人手不足で定期的な訪問には応じられません。そのため、仕事のない貧困のなか、未婚のプテゴさんは一人で子どもたちを育てているのです。

しかし、エイズと貧困の中で暮らす子どもたちにも将来があります。プテゴさんに育てられる子どもたちのひとり、12歳のマセゴちゃんの将来の夢は、看護婦になること。「病気の人を看病したい。このごろ、具合の悪い人がたくさんいるから」と。2年前にお母さんを亡くした悲しみを乗り越えようとしています。

マセゴちゃんを含む世界の子どもたちは、みな等しく教育を受けたり、健康に育つ権利があります。ユニセフはエイズで親を亡くした子どもたちや身内を失った家族を支援するため、政府と共に地域に根ざした保育施設を通じて支援。子どもたちに食事をあげたり、宿題をみたり、またプテゴさんのように親代わりの家族が休息をとれるようにしつつ、子どもが安全に遊べる環境を作っています。

子どもたちの親を奪い、生活に影を落とすエイズ。子どもたちを守るとともに、更なる小さな犠牲者を出さないよう、迅速な対応が求められています。

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