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住民自らが農村の開発推進
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住民自らが農村開発の担い手となって、子どもを取り巻く厳しい状況を改善する政策の立案から実施まで行う「CASDプログラム(コミュニティーによる子どものための社会開発)」は有効な社会開発の手法として注目されている。
このプログラムは、村の社会開発計画の立案・実施を担当する農村開発委員会のメンバーを、村人が選挙によって選ぶことから始まる。選ばれたメンバーは、自分の村の現状問題の把握、実行可能な解決方法の提案、プロジェクト実施の監督まで、一貫して農村の開発政策の責任を担う。CASDを支えるのは、開発に対する住民の強い意志と実行力である。ユニセフは運営方法や専門知識などの技術的支援と資金面での援助、政府・自治体を結ぶ役割を担う。
カンボジア南部、人口1千243人のプルドク村にCASDプログラムが導入されたのは今から3年前。住民に選ばれた農村開発委員会のメンバーは、まず村の生活道路の整備を行った。その後、衛生環境改善のために29ヵ所のトイレを計画的に建設、清潔な水を確保するために5つの井戸を設置するとともに、収穫期直前の食糧不足対策として低利で米の貸し付けを行う米銀行を設立し、住民に安全な暮らしを保障した。
また、家族の所得向上のために魚の養殖、養鶏・養豚、家庭菜園といった住民の活動を助成し、女性のための識字教室を開くなど、村全体の生活水準の向上に行政とユニセフの支援を受けて取り組んでいる。
CASDプログラムが導入された村における5歳未満児の栄養不良率は、2年前の50%から43%に、未熟児の出生率も45%から28%に低下し、子どもの予防接種実施率は53%から85%に大幅に増加した。数値に表れない変化として、住民の間に子どもや家族の健康や教育に対する積極的な姿勢や自信が生まれ、村全体の将来を考えるビジョンも芽生え始めた。また、長く続いた内戦によって崩壊したコミュニティーのきずなを再生する一助ともなっている。
今後、ユニセフはCASDをカンボジア全国に拡大する予定である。社会開発の主体は住民自身であり、村の将来の方向性を決めるのも住民の意志である。ユニセフは裏方として住民の意見に耳を傾け、必要とされるだけの援助を行い、行政に公共サービスとの連携を働きかける。カンボジアの未来はカンボジア人自身の手に委ねられている。