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財団法人日本ユニセフ協会

写真_UNICEF/2007/Izwina Mohd Din

カンボジア:地雷被害を受けた子どもたちを支える日本の支援

【2012年12月 カンボジア発】

写真:自宅のベランダで宿題をするバナくんと弟たち。
© UNICEF Cambodia/2012/Plong Chhaya
ユニセフから贈られた自転車で通学するソクヘン君。

フォルン・ソクヘン君は、3年前、カンボジア北西部バッタンバン州サムポブ・ローン地区にあるチョホエル・ティエル村の小学校に、明るく元気に通っていました。当時9歳だったソクヘン君は、おもちゃの車を解体したり、組み立てたりして遊ぶのが大好きでした。この楽しい時間が、彼の人生を変えることになってしまいました。

ソクヘン君は、その時のことを、次のように語ってくれました。「ある日、家の近くに白いものがあるのを見つけたんだ。おもちゃのトラクターの部品だと思って、学校に持って行ったんだ。休み時間に友達とベンチに座って、夢中になって見ていて、その部品の一部を引っ張ってみたんだ。そうしたら、突然爆発したんだよ。その地雷は、学校で不発弾や地雷の危険性について教わった時に見たどんな地雷とも違うタイプの形と色だったんだ」

地雷は、カンボジアの30年に亘る紛争の負の遺産。少なくとも40,000人以上が地雷で体の一部を失い、世界で最もその割合が高い国のひとつです。障害のあるカンボジアの若者の多くが、地雷や不発弾の事故によるものと推定されています。ユニセフ カンボジア事務所は、日本ユニセフ協会を通じた日本のみなさまからのご支援で、カンボジア政府やパートナー団体と共に、社会福祉制度を強化し、地雷によって障害を負った子どもたちを支援するべく活動しています。

再び“未来”をくれた日本の支援

この支援活動が始まった頃、ソクヘン君は地雷の被害に遭いました。地元自治体関係者は、事故が起きるとすぐにソクヘン君の両親に連絡。緊急手術の手配を整えました。ソクヘン君の父親のメアス・ノウンさんは、その後何が起きたのか、次のように話してくれました。「ユニセフや地元当局、NGO団体の助けがあって、息子は、すぐに地域の病院に搬送され、手術を受けました。事故が起きた時、私たちは畑にいたんです。知らせを聞いて、泣きながらタクシーに飛び乗りました。病院に着いた時、息子は全身血まみれで言葉も発することができませんでした。腕は完全につぶれ、出血が激しく、命が助かるかどうかもわかりませんでした」

写真:毎月の定期健診をうけるバナくん
© UNICEF Cambodia/2012/Plong Chhaya
事故で手を失ったソクヘン君。一時は学校に戻るのを諦めていましたが、周囲の励ましと、懸命なリハビリのおかげで、ソクヘン君は学校に戻ることができました。

2週間の入院の後、ソクヘン君は、リハビリテーションセンターに移り、両親も、ソクヘン君が日常生活を送るために必要なサポートの仕方をそこで教わりました。また、ユニセフの援助で、ソクヘン君には、プラスチック製の義手も支給されました。

メアスさんは次のように語ります。「息子の体の動きを回復させたり、日常生活を送るための援助の方法を教わりました」「息子は、今では、自分で顔を洗ったり、歯を磨いたり、食事をしたり、トイレに行ったり、服を着たりすることもできます」

事故の後、もう友達と一緒に勉強したり、遊んだりすることができないと思っていたソクヘン君は、学校に戻ることをためらっていました。しかし、両親や地元自治体の関係者、そして病院のスタッフの励ましを受けて、学校に戻りました。そしてソクヘン君は、その後3ヵ月で、義手がなくても文字を書く方法を学びました。

12才になったソクヘン君は、今、小学5年生。ユニセフから支給された自転車に乗って元気に通学しています。障害のある子どもたちが通学しやすいよう、またリハビリの一助にと、ユニセフは、自転車もプレゼントしているのです。

周囲の子どもたちも成長

学校に戻ったソクヘン君のがんばりを見た周囲の子どもたちは、彼のその姿に、すっかり感心した様子です。「10年くらいソクヘン君とは友達なんだけど、彼はとっても頭がいいんだ。自信を持って自転車に乗ったり遊んだり授業を受けたりしているソクヘン君を見た時は、とっても驚いたよ。ソクヘン君が大好きなんだ」こう話すのは、友人のチェアル・ソクロエウルン君(11歳)。別の友達のセン・ソクリーちゃん(11歳)も、次のように話します。「私は、近所に住んでいて、クラスも同じなの。彼は優しいし、友達と冗談を言い合うのが好きよ。前は、手が無くなっちゃった彼の腕に触るのをためらっていたんだけど、今はよく分かっているし、ソクヘン君と遊ぶのが大好き」

ソクヘン君は、以前は怖い夢を見ていたと話します。「何度も、自分の腕が元に戻っている夢を見たんだ。でも、目覚めたら、何も変わってなんていないのに気がつくんだ」とソクヘン君。今の生活を受け入れながら、将来の夢を話してくれました。「一番好きな科目は算数だよ。大きくなったら学校の先生になりたいな。学校では、毎日、僕のことを差別しない学校の友達と一緒に遊んでいるよ」

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