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カメルーン:最大の死亡原因の一つ「栄養不良」を克服するために【2009年11月13日 カメルーン発】
カメルーン北部のチョンチ村に暮らす双子のマシング・エスターちゃんとチト・アンナちゃん(2歳)の体重は、標準体重から5キロも低い状態です。重度の栄養不良のために歩くことができないこの双子の赤ちゃんは、どこに行くにも抱きかかえて連れていってもらわなければなりません。 母親のマリエ・マボウレさん(42歳)は、自身も栄養不良であるにもかかわらず、この双子の子どもたちをいつも抱えています。マボウレさんには12人の子どもがいますが、子どもたち全員が栄養不良に苦しんでいます。マボウレさん一家には一定の収入源がなく、毎日栄養のある食事を用意することが難しい状況です。 「“ニリ”を食べています。」マボウレさんは話します。“ニリ”とは、とうもろこしやキビの粉を溶いて煮て作ったこの地域の主食となっているものです。「野菜はほとんどないし、お肉なんて高くて口に出来ません。」 マボウレさんは、家族に食べさせるために作物を育てていますが、今年は厳しい年になりました。「今年収穫した作物は、12人の子どもたち全員が十分に食べられる量ではありません。1日に2度食事を用意するのがとても難しい状況です。」 栄養教育イニシアティブ
栄養不良は、カメルーンの子どもたちの主な死亡原因のひとつです。北部では特に死亡率が高く、チョンチ村にある地元の保健センターだけでも、2009年7月以来、155人の子どもたちが重度の急性栄養不良と診断されました。 ユニセフは、こうした状況に対応するため、家庭訪問を通じて栄養に関する正しい知識や習慣を普及するために、この地域で400人以上の地域保健ボランティアが参加する栄養教育イニシアティブを支援しています。 サラ・ジャナトウさんは、チョンチ村の地域ボランティアのひとりです。栄養に関する大切なメッセージを広げるために、毎日15キロ、徒歩で村々を回り、人々に伝えて回っています。 「この地域の多くの人々、特に女性は読み書きができません。また、この地域の世帯あたりの人数はとても多いのです。ですから、貧困と相まって、多くの世帯では、日に2度の食事を用意することができません。」(サラ・ジャナトウさん) 医師と看護師のトレーニングマボウレさんの家では、ジャナトウさんが卵や果物、栄養価の高い野菜などの食べ物のポスターを見せています。ジャナトウさんは、マボウレさんの家計の中で、どのようにしたらバランスの取れた食事を摂ることができるのかといった情報を伝えています。 また、地域ボランティアの人々は、ユニセフが現地保健省と協力して支援している地元保健センターを訪れるよう村人を促しています。この保健センターでは、看護師が子どもたちの体重と身長を調べ、子どもたちの健康状態を確認しています。診断の結果、低体重の子どもたちには、とうもろこし、大豆、砂糖、油からなる栄養が強化された食品が配給されています。 また、症状が深刻で、より高度の医療的な対応が必要な栄養不良の子どもたちは、ユニセフの研修を受けた看護師と医師が居る、近くのガイデル地域病院に搬送されます。 効果の兆し病院のスタッフは、何とか健康状態を取り戻した子どもたちの数が増えていると語っています。 「ユニセフの支援が始まった2009年以前には、この地域では、栄養不良の治療のために必要な特別な食事を摂ることができませんでした。」ガイデル病院小児科医のナラ・パメラ医師はこう振り返ります。「現在、病院には治療用ミルクが用意されています。また、調理無しですぐに食べられる栄養補助食品が、病院にも、保健センターにも用意されています。」 実際、こうした効果は数字にも表れはじめています。2009年7月と8月は、栄養不良による死亡が7件報告されましたが、10月は一件も報告されませんでした。 「北部では、急激に体重が減少している10万人の栄養不良の子どもたちがいます。」ユニセフ・カメルーン事務所のデニス・ガルニエ栄養支援事業担当官はこう話します。「この地域の41地区のうち、11地区で実施されているこのプログラムによって、5,000人から1万人の子どもたちの治療が可能になりました。この支援活動をさらに拡大するため、国際社会からの支援が求められています。」 |