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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国:武力勢力に拉致され搾取された子どもたち

【2012年7月25日 中央アフリカ共和国発】

© UN Office of the SRSG for Children and Armed Conflict/2011/T La Rose
2年半、LRAに拉致され、兵士として徴用されていたベネディクテさん。現在、カウンセリングを受け、地元に戻ることができた。

「お母さんときょうだいたちと、みんなで一緒に眠っていたの。そうしたら、夜中に、武器とたいまつを持った男の人たちがやってきて、私と他の2人のきょうだいを家族から引き離したのよ。村の多くの子どもたちが連れ去られたわ」中央アフリカ共和国に侵攻している「神の抵抗軍(LRA)」に拉致され、奴隷のように働かされたソフィーさんは、その時のことを思い出しながら話してくれました。

ソフィーさんと他の拉致された子どもたちは、後で離れ離れにさせられ、LRAの違うグループに分けられました。子どもたちは、荷物運搬人や料理人、兵士、性的奴隷として働かされたのです。

こうした多大な困難にもかかわらず、ソフィーさんは脱走に成功。中央アフリカ共和国の故郷オボへ帰ることができました。しかし、その故郷は、繰り返しLRAの攻撃の対象となってきたのです。

ベネディクテさんは、誘拐されてから体験したことを話してくれました。2008年3月、ベネディクテさんと、その他の13人の子どもたちが拉致されました。「荷物運搬人となって、物資の輸送の仕事を始めたんだ。中央アフリカ共和国から本拠地のあるコンゴへ送られたんだよ。コンゴは、爆撃を受けていたから、拉致された子どもたちはばらばらになってしまった。僕は、武器をわたされた。村へ行って、盗みや殺人もしなければならなかったんだ。自分の命を守るためにね。」

2年後、ベネディクテさんは何とか脱走を果たしましたが、いまだに苦しみ続けています。「忘れた。でも、1人でいるとあの時のことを思い出してしまうんだ。1人でいるのは好きじゃないよ。他の人と一緒にいる方がいい。あの経験を忘れることができるから」

コミュニティへの帰還
© UNICEF CAR/2012/C Boughton
神の抵抗軍(LRA)の攻撃を受けて避難を余儀なくされた中央アフリカ共和国オボで。

ソフィーさんとベネディクテさんは、トラウマとなるような経験を克服し、家族と再び一緒に暮らすために、ユニセフ、パートナー組織、米国国際開発庁・海外災害援助局(USAID/OFDA)の支援を受けています。

心理学者でCOOPI(Cooperazione Internazionale)と共にオー・ムボム州で子どもの保護チーフとして活躍しているマルジア・ビグリアロニさんは、中央アフリカ共和国でLRAに拉致された300人以上の子どもたちを支援してきました。ビクリアロニさんは、子どもたちへの支援についてこう説明しました。

「ただ子どもを治療するようなことはできません。子どもたちが社会復帰するには、(その子どもたちが生活している)コミュニティの手助けが必要なのです」 「一人ひとりと面談して、どんなことを体験したのか、犠牲となった人の話を聞いています。また、LRAの犠牲者を支援するグループを取りまとめて、犠牲者の女の子、男の子、男性、女性が、自分自身の経験を表現することができ、苦しんでいるのは自分だけではないと感じられるような場を提供しています。また、できる限り早く、学校に通ったり、家族と一緒に暮らしたりすることは、子どもたちが日常の感覚を取り戻すことにつながるのです」

ビグリアロニさんは、LRAによる攻撃は、幅広い世代に影響を及ぼしていると説明しました。「LRAに連れ去られた人々だけでなく、コミュニティ全体がこの攻撃による精神的な衝撃を受けているのです」

避難を余儀なくされたコミュニティのための希望
© UNICEF CAR/2012/S Bodemo
中央アフリカ共和国で、避難を余儀なくされた子どもたちのために設置された臨時の学校。

LRAは、2008年に中央アフリカ共和国に侵攻。その後、東部の4つの州に暮らす人々が、LRAの攻撃の脅威にさらされています。

しかしながら、LRAの苦難に苦しむ子どもやその家族に対する国際社会の関心の高まりを受けて、現在、中央アフリカ共和国東部の州を脅かしている侵攻は、終息しつつあるという望みもあります。2012年5月13日、オボからさほど離れていない場所で、シーザー・アチェラムLRA司令官が拘束されました。一緒にいた10代の女の子と赤ちゃんは保護され、現在、コミュニティでのケアと、COOPIによる支援を受けています。同国の他の地域で暮らしている家族の元へ戻り、この経験からの回復を確かなものにするため、COOPIから継続して支援を受ける予定です。

USAID/OFDAやドナーのみなさまからの支援を受けて、ユニセフは、パートナーと共に、子どもたちがLRAの経験から回復するための支援を継続し、家族やコミュニティとの生活を再び取り戻せるよう支援しています。海外災害援助局は、LRAの影響を受けたコミュニティと、避難を余儀なくされた人々のために、保健、教育、水と衛生といった基本的な社会サービスも提供してきました。

「ユニセフおよび国際社会は、中央アフリカ共和国のLRAの影響を受けた地域で必要とされている全ての人道支援を提供し続ける必要があります」「その一方で、コミュニティの更なる統合と回復のための支援を促進する社会・経済的支援を実施しながら、抵抗力のあるコミュニティをつくりあげることに重点を置いています」ユニセフ・中央アフリカ共和国のターニャ・シャプイザ 代表はこう話しました。

子どもたちの名前は全て仮名です。

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