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子ども200万人が危機に直面−反政府勢力が政権を掌握した中央アフリカ【2013年3月29日 中央アフリカ共和国発】
武力紛争が激化している中央アフリカ共和国。略奪や政情不安が広がり、子どもたちの教育や医療などの基本的な社会サービスも滞っています。200万人の子どもたちが危機にさらされ、状況が直ぐに改善されなければ、さらに多くの子どもたちが困難な状況に置かれることになります。 反政府勢力連合体のセレカ(Seleka)が首都バンギを制圧してから1週間が経ちました。ユニセフは、治安状況の悪化から、子どもたちに必要不可欠な人道支援活動が妨げられていることに警鐘を鳴らしています。多くの子どもたちがすでに危機的な状況に置かれている中、現在のこうした状況は、子どもたちの命を脅かしかねません。 「中央アフリカ共和国の子どもたちは、今回、内戦が急激に悪化する以前から、アフリカの中でも最も厳しい状況に置かれていました」「武力紛争の影響を受けたコミュニティへの全てのアクセスと(子どもたちや支援要員の)安全の確保が絶対に必要です。このまま混乱が続き、支援を必要としている地域へのアクセスが閉ざされ、支援物資が盗まれるような状況が続けば、さらに多くの子どもたちが命を落とすことになるでしょう」こう話すのは、ユニセフの西部・中部アフリカ地域事務所のマニュエル・フォンテーン代表です。 反政府勢力による制圧後、首都バンギでは、略奪行為が相次いでいます。ユニセフは、昨年12月末以降この危機による直接的な影響を受けた人々は410万人にのぼり、その大部分が子どもたちで占められていると推定しています。また、そのうちの約120万人は、日常生活を送る上で必要不可欠な基本的な社会サービスが利用できない状況です。 ユニセフの倉庫も、今週、約10トンもの緊急支援物資が略奪の被害に遭いました。奪われた物資は、子どもや女性を中心に、約3万人の最も厳しい状況におかれている人々に、数日から数週間のうちに配布される予定だったものです。その中には、飲料水キットや毛布、蚊帳、ビニールシート、医薬品、そして子どもたちの栄養不良の予防や治療に使う物資も含まれていました。 「新政権は、子どもたちのニーズと権利を守ることに最優先で取り組まなければなければなりません」「安全な環境の中で活動できること、そして必要としている全ての人々に支援を届けられる環境が確保されることが、ユニセフをはじめ全ての人道支援団体にとって、きわめて重要です」ユニセフ・中央アフリカ共和国事務所のスレイマン・ディアバテ代表は、こう話します。 「求めている人々に支援物資を届けることができない日が増えるほど、感染症が蔓延する危険も高まります。最も支援を必要としている人々に届けるための必要不可欠な支援物資が盗まれてしまうような状況が放置され続けたら、この国は、どうやって前に進んでいくことができるのでしょうか?」 ユニセフは、全ての紛争当事者に対し、略奪行為の即時停止と人道支援団体が支援活動を自由かつ安全に行うためのアクセスの確保、また、人道的諸原則や人権、法の尊重を求めています。 「先週政権を掌握した反政府勢力連合体のセレカは、中央アフリカ共和国の全ての人々のために、今こそ、人道的諸原則と人権を守る姿勢を具体的に示すべきです」(マニュエル・フォンテーンユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表) |