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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

中央アフリカ共和国:政情不安の中、子どもたちのために立ち上がった地域の人々

【2013年5月24日 中央アフリカ共和国発】

© UNICEF Central African Republic/2013/Nambeanre
はしかの予防接種を受ける子どもをみつめるキャンペーンスタッフの一人、エリック・グレンボさん(写真中央)。本キャンペーンを通じて、12万5000人の子どもたちに、はしかの予防接種やビタミンA、虫下しなどが投与された。

武力衝突の余波が続く中、中央アフリカ共和国の首都バンギでは、5月22日から26日に掛け、子どもたちを対象にした、はしかの緊急予防接種キャンペーンが行われていました。

キャンペーン初日の22日、テヴェスちゃん(3歳)は、バンギのウアンゴ保健センターで1回目の予防接種を受けました。母親のオーベルジュ・ゲノムさんは、ラジオや近所で配布されていたチラシ、拡声器を使った呼びかけを通じて、このキャンペーンの事を知り、デヴェスちゃんを保健センターに連れてきたのです。

「予防接種は、はしかなどの病気の脅威からテヴェスを守ってくれます」オーベルジュさんはこう話します。バンギではしかが流行したために実施された今回のキャンペーン。テヴェスちゃんには、はしかの予防接種の他に、ビタミンA剤と虫下しも与えられました。

機能不全に陥った医療サービス

この日、午前11時までにウアンゴ保健センターで予防接種を受けた子どもは150人以上。困難な状況の中でも、このキャンペーンは成功を収めています。「クーデターが起きてから、このセンターのような施設は、以前と同じような機能を果たすことが難しくなりました」「遠方から通っていたスタッフは、安全上の問題から通勤が難しくなりましたし、ここに来られるスタッフでさえ、(何かあれば)すぐに家に帰れるようにしておかなければなりません。また、保健センターに来る患者も少なくなっています」このキャンペーンで広報活動を担当したエリック・グレンボさんは、こう説明します。

クーデターとそれに続いた激しい暴動から2ヵ月。バンギの人々は、日常生活を取り戻すべく奮闘しています。事業を再開している企業や、活動を再開した私立学校もあります。この1ヵ月、人々の安全が脅かされるような武力衝突はほとんど発生していません。しかし、首都の機能は、いまだに回復したとは言いがたい状況です。バンギでは、夜になると、街中に銃声が響きます。市民を狙った攻撃、犯罪、盗難、そして、恣意的な逮捕なども報告されています。

はしかの流行

© UNICEF Central African Republic/2013/Nambeanre
はしかの予防接種を受けるため、バンギのウアンゴ保健センターを訪れたオーベルジュ・ゲノムさんとテヴェスちゃん(3歳)。

こうした厳しい状況にもかかわらず、自分や地域の子どもたちに予防接種を受けさせるため、多くの人々が、予防接種の拠点となる場所を100箇所以上準備しました。このうち60箇所以上は、通常は予防接種の提供場所ではない小規模の保健所や教会、モスク、学校などに設置されました。「もう銃声を聞きたくありません」「このキャンペーンは、住民を巻き込んだ形で実施されました。地域の人々が、このキャンペーンを支えているのです。今日、ここにいる全ての人がその証人です」

中央アフリカ共和国の武力衝突や政情不安から国外に逃れた人々は、2012年12月以降4万9,000人。国内避難民となった人々は、20万6,000人を超えます。少なくとも120万人は、安全な飲料水や衛生設備、医療などの基本的な社会サービスへのアクセスを失い、様々な感染症の危険に晒されています。不衛生な生活環境に加え、今回の混乱が発生する以前から、はしかの予防接種普及率が62パーセントと極めて低かったことから、多くの子どもたちが、今、はしかに感染する危険にさらされています。

実際、4月には、8人の子どもに、はしかの感染が確認されました。これを受け、ユニセフは、保健省や世界保健機関(WHO)、地元NGOなどと協力して、今回、12万5,000人の子どもを対象に予防接種キャンペーンを実施。また、感染者の発生や拡大のリスクが高まっている他の地域でも、はしかの予防接種を定期的に実施するため、航空会社イージージェットの協力を得て、10万本の追加ワクチンを確保しました。

最も必要としている人々に支援を届けるために

「はしかは、非常に感染力が強く、幼い子どもの命を奪う病気のひとつです。また、感染すると、他の病気への抵抗力も弱めてしまうのです」「栄養不良に苦しみ、保健ケアを受けられない子どもたちが最も厳しい立場に置かれています。しかし、朗報もあります。はしかは、効果的で安全なワクチンさえあれば、容易に防ぐことが可能なものなのです」ユニセフ・中央アフリカ共和国事務所 スリマン・ディアバット代表はこのように訴えます。

支援を必要としている人々へのアクセスも、徐々に改善されてきています。ユニセフは、地元NGOと協力し、こうした人々の元へも、命を繋ぐために最低限必要な支援物資や、保健・医療、栄養、子どもの保護、水と衛生の分野での緊急支援活動を展開しています。

2013年3月24日のクーデター勃発以降、ユニセフは、バンギ市内の4つの主要病院と全国の保健センターを拠点に緊急保健医療支援活動を実施。14万1,000人を最長3ヵ月間治療できる量の緊急保健支援物資を提供しました。

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