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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

チャド: 難民キャンプの子どもたちを襲う栄養不良


【2007年7月5日、チャド発】

© UNICEF Chad/2007/Helali
ナニルタちゃんを見守るサフィアさん

増加の勢いは弱まる気配を見せません。スーダン・ダルフール地方で続く戦いを逃れて隣国チャドに逃れる人々の数が、2004年の13万人から、今日では24万人にまで急速に膨れ上がっているのです。

暴力に国境はなく、村々への襲撃や略奪行為によって勃発した人道危機は、チャド東部をも巻き込み、さらに20万人の人々が住んでいた村を追われ、難民キャンプに避難せざるをえない結果をもたらしました。

コウビゴウ・キャンプには、民族を理由とする暴力と強盗の襲撃を逃れようと、女性と子どもたちが毎日到着しています。ここでさえ安全がいつも保障されているとは限りませんが、後にしてきたところに比べればまだましです。子どもや女性たちは、集団になって暮らしています。彼らが住む小屋は最低限の作りしかなく、食べ物や水、医療サービスも不足しています。

深刻な栄養不良の影響
© UNICEF Chad/2007/Helali
ゴズ・ベイダの栄養治療センターで手当てを受ける栄養不良の子ども

42歳のサフィアさんには5人の子どもがいます。サフィアさんは、赤ちゃんのナニルタちゃんを連れてコウビゴウの診療所を訪れ、イスに腰をかけています。サフィアさんは、ナニルタちゃんが一晩中泣き続け、下痢が止まらないことをとても心配しているのです。

貧しく不安定な生活を経験してきたサフィアさんですが、今はさらに弱い立場に置いやられ、援助に頼っています。なぜなら、住んでいた村が襲撃を受けて破壊され、夫も殺されてしまったからです。サフィアさんとナニルタちゃんは、民兵組織ジャンジャウィードの襲撃から難を逃れた他の人々とともに、厳しい暑さの中、50キロもの道のりを歩いて難民キャンプにたどり着きました。

診療所の看護師は、ナニルタちゃんを見るなり、この赤ちゃんが深刻な栄養不良で、すぐに治療をする必要があることに気づきました。生後9カ月になるナニルタちゃんの体重はわずか2キロ余りしかありません。標準体重より5キロも軽いのです。「この地域では、5人にひとりの子どもが急性の栄養不良です」と看護師は語ります。「ここには、子どもを連れた母親がたくさんやってきます。ここに着くと、まず体重や身長、そして腕回りを測ります。身長に対する体重の割合が一定水準を下回る場合、子どもは栄養治療センターで治療を受けます」。

不足する支援
© UNICEF Chad/2007/Helali
チャド東部にある避難キャンプのひとつ、コウビゴウ・キャンプ

この看護師はさらに続けます。「大きな問題のひとつは、栄養不良の子どもをもつ母親が、すぐには治療センターに行きたがらないことなのです」。

「彼女たちはまず最初に、他の子どもたちの面倒をみてくれる人を探さなければならないからです。中には、そのまま戻ってこない人もいます」。「助けてくれる夫やその他の家族を失った彼女たちにとって、それは難しいことなのです」。

ナニルタちゃんの場合は、特別食を与えられ、すぐに治療プログラムを受けはじめることができました。栄養治療センターは、ユニセフの支援を受け、これまでに600人を超える子どもたちを治療しています。ユニセフはまた、さらに4万5000人分の支援物資を提供しました。

このほかにも、ユニセフは必須医薬品や基礎的な器材を提供するとともに、保健員に対する支援と研修も行っています。また、ユニミックス(栄養補助食)、プラムピーナツ(豊富なビタミンを含むピーナツ・ペースト)などの補助食品も提供しています。しかし、チャド東部で進行する人道危機−−国境を越えて、罪も無い人々の命を奪い続けている危機−−に晒されている人々を支援するためになすべきことは、まだまだたくさんあるのです。

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◇ 募金のお願い ◇

 財団法人日本ユニセフ協会では、アフリカの子どもに対するユニセフの緊急援助を支援する「アフリカ緊急募金」の受付を行っています。皆様のご協力をよろしくお願い致します。

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