メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ユニセフ 武力衝突の影響を受けるチャドの人々へ支援


【2009年2月18日 チャド発】

© UNICEF Chad/2009/Shiffer
チャド南東部にあるダハ難民キャンプで生まれたハビバさんの赤ちゃん。ハビバさん親子は武力衝突から逃れ、中央アフリカの国境を越えて避難してきた。

ムサ君(4歳)は、草で作られた小さな避難所のマットの上に静かに座っています。ムサ君の目から彼がうろたえているのがはっきりと分かります。ムサ君は、最近中央アフリカ共和国との国境近くに位置するチャド南東部の農村部にある小さな村、ダハに避難してきました。

ムサくんの母親のハビバさんと、妹のアワちゃん(3歳)は、先月、中央アフリカ共和国北東部にある村から避難してきました。その地域で反政府勢力と政府軍の武力衝突が起きたのです。「武力勢力が村を襲い、逃げようとした人たち全員に発砲しました。」ハビバさんは、その時のことを振り返ります。

妊娠8ヵ月半だったハビバさんは、その時自分たちの小さな家に隠れていましたが、発砲が止んだわずかな隙を見計らってムサくんとアワちゃんを連れて走って逃げました。ハビバさんの夫と、上の二人の子どもたちは、武力勢力に襲われたとき、牛の群れを集めていて、逃げることはできませんでした。

ハビバさんが持ち出すことができたわずかな所持品をムサくんといっしょに運びながら、一家は、チャドと中央アフリカ共和国の間を流れるアオーク川を渡ってなんとか避難してきました。

ユニセフ、緊急対応チームを配置
© UNICEF Chad/2009/Shiffer
ハビバさんは、二人の子どもを連れて中央アフリカ共和国から避難してきた。ハビバさんはチャドのダハ難民キャンプで出産した。

ユニセフは、他の国連機関、パートナーと協力してチャド東部への避難を余儀なくされた25万人の避難民と、16万人を超える国内避難民のニーズに応えるべく活動しています。

ハビバさん親子は、過去6週間の間にダハにたどり着いた約6000人の避難民——そのうちの83パーセントが女性と子どもたち——の中の一家族です。この地域は、非常にアクセスが難しい場所で、最も近い都市部から徒歩で3日以上かかります。

避難キャンプの家族を支援するために、ユニセフは、7人のメンバーから成る緊急対応チームを配置しました。このメンバーには、医師2名、水と衛生担当官1名、栄養士1名が含まれています。また、水を運ぶための貯水タンク、マラリアから守る蚊帳、浄水剤など、20トン以上の支援物資を配布しました。

さらに、救命医薬品と栄養補給物資が、ユニセフのスタッフと保健省の看護師2名が活動する小さな診療所に提供されました。

予防接種キャンペーン
© UNICEF Chad/2009/Shiffer
チャド南東部にあるダハ避難キャンプの診療所で治療を待つハビバさん親子。ユニセフは、パートナーと共に、緊急の保健と栄養の課題に対処している。

はしかが流行する時期を迎え、ユニセフは、先日、ダハで集団予防接種キャンペーンを行いました。保健チームは、子どもたちにはしかとポリオの予防接種、栄養スクリーニング、ビタミンA補給、虫くだしの投与を行いました。

その他にも、支援物資と機材20トン分がユニセフ・アベシェ事務所からダハに向けて輸送されています。これらの物資には、トイレを設置するための厚板、安全な飲料水を提供するためのゴム製タンクなどが含まれています。

「私たちは、家族と離れ離れになっている子どもたちや孤児の子どもたち、そして女性が一家の暮らし向きを支えているような最も弱い立場のグループが、確実に支援物資にアクセスできるよう活動しています。」ユニセフスタッフのジョン・ンタムビは話しました。「ムサくんの家族を含め、人々は、すでに十分過ぎるほど苦難に耐えてきているのです。」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る