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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

コンゴ:全国民を対象にしたポリオの緊急予防接種キャンペーン

【2010年12月14日 コンゴ・ポアントノアール発】

© UNICEF Congo/2010/Asselin
ポアント・ノアールのシセ病院に入院しているトニー・ボウッサナさん(24歳)。

コンゴで猛威を振るうポリオ。死者も出すほど状況が深刻化する中、緊急の予防接種キャンペーンが展開されました。通常とは異なり、これまでポリオで命を落とした人々の大部分が15歳から29歳までの若者でした。この世代は、幼少期に予防接種を受けていなかったか、不十分であったことが指摘されています。

ポアント・ノアールにあるア・シセ病院に入院しているトニー・ボウッサナさん(24歳)は、ポリオで身体の一部が麻痺してしまいました。「病院に来た時は、まだ腕が動いていました。でも今は動きません。腕が全部なくなってしまったように感じます。」

急がれるポリオの感染予防
© UNICEF Congo/2010/Asselin
予防接種キャンペーンを知らせる広報活動が続けられています。

2回目の大規模なポリオ予防接種キャンペーンが終了する予定の今週、数千人の保健員とボランティアの人々は、性別や年齢、予防接種歴に関わらず、全国民に予防接種を行うべく、対応を急いでいます。

こうした活動によって、新たなポリオの感染者数は減少し始めています。また、異常なほど高かった死亡者の割合は、流行し始めたときの47パーセントから、12月の初めには42パーセントとなり、徐々に減少しています。

しかしながら、未だに憂慮すべき状況が続いています。感染の疑いのある症例数は、少なくとも513件。死者は、200人以上に達しています。

今回のポリオの流行は、コウイロウの港町、ポアント・ノアールで最初に確認されました。現在、首都のブラザビル、南部のブエンザ、西部のニアリ、北部のリクアでも新たな感染が確認されています。

物流面の課題
© UNICEF Congo/2010/Asselin
ユニセフ・西・中央アフリカ地域事務所のジァンフランコ・ロティグリアーノ代表(写真中央)

このキャンペーンは、12日間という記録的な速さで行われました。全人口に予防接種を行うため、数え切れないほどのワクチンの手配、ボランティアの募集や訓練を受けたスタッフの配置など、物流や輸送、人員の配置に様々な難題を克服しなければなりませんでした。

ユニセフは、1,800万人分のワクチンを調達した他、ワクチンを保存するためのコールド・チェーン器材の提供、コンゴの保健員への研修も実施。また、国際ロータリークラブからの大きな支援を受けて、ユニセフは、テレビやラジオ、携帯メール、のぼり、冊子、ポスター、人員を利用して、予防接種キャンペーンを呼びかける広報活動を主導しています。

「全ての国民に予防接種を実施することは、容易なことではありません。また、膨大な費用も必要です。」 ポアント・ノアールを訪れているユニセフ・西・中央アフリカ地域事務所のジァンフランコ・ロティグリアーノ代表はこう話しました。

不足する資金

この大規模な支援活動は、非常に伝染力の強いポリオの流行に対応するべく、流行当初から、コンゴ政府を支援していた世界ポリオ撲滅イニシアティブの協力によって可能となりました。

国連の中央緊急対応基金(CERF)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米疾病対策センターの支援を受けて、ユニセフと世界保健機関(WHO)は、すでに450万米ドルの資金を確保しています。また、コンゴ政府は、国家予算から急遽200万米ドルの資金を割り当てて対応しています。ユニセフは、来年1月初旬に予定されている3回目の予防接種キャンペーンを実施するための資金として、300万米ドルの追加の資金を国際社会に求めています。

この追加資金は、特に、最も手の届き難いコミュニティや都市部のスラム街の人々も含む全人口への予防接種を、確実に実施するために必要とされています。

近隣諸国に迫る脅威

国境を超えた感染拡大の危険も高まっています。流行を食い止めるための緊急支援活動が、感染の危険の高い隣国のアンゴラやコンゴ民主共和国でも行われています。

コンゴでは、国内のポリオの症例は2000年を最後に報告されていませんでした。「今回のポリオの大流行によって、ポリオの根絶に力を入れて取り組み続けることがいかに重要であるか、はっきりと分かりました。」(ロティグリアーノ代表)

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