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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<信濃毎日新聞2003年7月29日掲載>

紛争で避難生活 行き場失う
<コンゴ民主共和国>


紛争を逃れて避難してきた数千人もの人々を収容するため、国連が設置したブニア市内の避難民キャンプ日本ではあまり大きく報道されていませんが、今年5月、コンゴ民主共和国北東部のイトゥリ地方で武力衝突が始まり、その戦闘が同地方で最も大きな都市ブニアにも広がりました。その結果、4万人もの女性と子どもたちが避難を余儀なくされ、行き場を失いさまよっています。
現地からの報告によると、多くの子どもたちが残虐行為を目の当たりにし、親や親せきが殺されるのを見たといいます。また、何千人もの子どもたちが、さまざまな武装勢力により兵士として徴用されたと伝えられています。なかには、まだ10歳に満たない男の子も…。こうした子どもたちは、おとなが始めた恐ろしい暴力行為の一翼をいやおうなく担わされるのです。そして、戦闘により、数え切れない子どもたちが命を落とし、傷を負っています。

しかし、こうした戦闘は急に始まったわけではありません。イトゥリ地方では、この地域に眠る豊かな鉱物資源をめぐる部族間の対立の高まりにより、ここ数年、断続的に紛争が続いていました。過去5年間に、330万人が命を失ったと推定され、そのほとんどが、子どもなど一般市民です。多くの人が、病気や飢え、戦闘によって亡くなっています。コンゴでは、およそ3万人の兵士のうち、3分の1が子どもであるとも言われています。

5月の武力衝突の高まりを受け、ユニセフは戦闘開始から48時間以内に緊急支援物資を現地に輸送しました。基礎医薬品、水、テント、ビニールシート、下痢による脱水症状を防ぐORS(経口補水塩)など、支援物資は合計10トンにのぼります。戦闘が一段落した現在は、ユニセフは小学校約1,000校の再開のために急ピッチで支援を行っています。

「紛争の影響を受けた街に平和をもたらすためには、子どもたちを学校に戻すことが一番です」ユニセフ・コンゴ事務所代表のジャンフランコ・ロティグリアーノ氏は言います。コンゴで避難民となり、苦しんでいる子どもたちの声は、なかなか日本まで届きません。しかし、学校に戻りたいという子どもたちの願いは同じです。紛争下に生きる子どもたちにとって、学校は子どもらしく遊び、学べる唯一の場なのです。

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