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コンゴ民主共和国:最も困難な状態にある子どもたちに、無償のマラリア対策を【2008年7月28日 コンゴ民主共和国発】
午前8時、モニークさんは、近所の人に助けを求めて町中を駆けまわりました。3歳になる娘のラナちゃんが、痙攣をおこし呼吸困難に陥っていたのです。保健センターで、ラナちゃんは、医師から脳性マラリアと診断され、薬を投与しなければ危険な状態であると言われました。 不幸にも、ラナちゃんを救う薬はこのセンターにはありませんでした。この地域には、ユニセフが支援している貧しい家族の子どもたちを無料で治療するサービスが、まだ取り入れられていなかったのです。 父親のモリスさんは、薬屋へ急ぎました。しかし、その薬は42ドル。彼の手元には、モニークさんが前日に稼いだお金のうち、7ドルほどしか残っていませんでした。親戚や友人に助けを求めお金を工面し、何とか15ドルを集めました。モリスさんが、午前2時に病院へ戻った時、モニークさんは床で泣き崩れていました。彼が病院へ着く1時間半前には、愛娘のラナちゃんは帰らぬ人となっていたのです。 「この保健センターでも、マラリア治療サービスが行われていたら、私の娘はきっとまだ生きていたでしょう。」モニークさんは話します。 コンゴ民主共和国では、毎年21,000人の子どもたちがマラリアで命を落としています。マラリアは、5歳未満児死亡の主な原因のひとつ。この状況を改善するため、コンゴ民主国政府は、社会的・経済的に困難な状況に置かれている15歳未満の子どもたちと妊婦に対し、マラリア治療を無料にするという新しい政策を導入しました。 「最も弱い立場の人々のためのこの無料治療政策は、子どもの生存を守るために重要なものになるでしょう。5歳未満児の死亡の30パーセント以上は、マラリアが原因です」。(社会保健サービス大臣のエミリエンネ・ラウル氏) この政策は、現在24の保健センターで行われていますが、今年中には、コンゴ共和国中にある244のセンター全てに拡大する予定です。子どもや妊娠中の女性は、診断テストやACTと呼ばれるマラリアに対し効果的な治療法であるアルテミシニンなどの抗マラリア薬を併用する治療が無料で受けられます。 8月頭には、国中でこの新しい政策を啓発するため、「お母さん子どもの週間」キャンペーンが実施されます。子どもたちを対象に、他の感染症に対する予防接種や蚊帳の配布が予定される他、妊娠中の女性に対するマラリア治療も実施されます。 昨年、ユニセフは、日本政府などの支援を受け、子ども54万5000人分の殺虫剤処理済の蚊帳を配布しました。また、妊娠中の女性に対する定期的なマラリア予防治療も無料で実施しています。 「殺虫剤処理済みの蚊帳の中で眠ること、妊娠中の女性に対するマラリア予防治療を普及すること、そして、無料のACT治療を普及することによって、毎年1万4,000人の国内の5歳未満児の命を救うことができます」とユニセフ・コンゴ民主共和国事務所クラード・ワノールムリンゲン代表は語ります。 |