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宗教指導者が妊産婦と子どもの保健を促進
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© UNICEF Kenya/2010/Sittoni |
ケニアの北東州に位置するガリッサで、子どもの成長を記録するイスラム教の最高評議会・アブダルガファ・エル・ブサイディ議長。 |
今年のイード・アル・アドハ(犠牲祭)の期間中、コンゴ民主共和国の首都キンシャサにある殉教者スタジアム(Martyrs Stadium)に集まった何万人ものイスラム教徒たちは、イスラム教指導者からいつもとは違うメッセージを聞きました。指導者シャイフ・アブダラ・マンガラ・ムワナ・ルアバ氏が、母親たちに対し、生後6ヵ月間は完全母乳育児を行うように強く求めたのです。
また、ケニアでは、普段はひっそりとしているナイロビ郊外にあるカハワ西保健センターが、騒がしくなっていました。800人以上の女性と子どもたちが、ケニアの「マレジ・ボラ(良い子育て)」キャンペーンの一環として無料で提供された一連のサービスを受けるために、待っていたのです。このキャンペーンは、宗教指導者たちがコミュニティにおける妊産婦と子どもの保健の促進を目的として始まりました。
「3人目の子どもがもうすぐ生まれる予定です。」8キロもの道のりを歩いてこの保健センターにやってきたハンナ・マイナさんは話しました。「日曜日に教会の牧師様から、妊婦は無料の保健サービスを受けにいくようアドバイスをいただいたので、ここまで来なければなりませんでした。」
「世界子どものための祈りと行動の日(World Day of Prayer and Action for Children)」が定められてから2年目を迎えた今年の11月20日は、世界中で似たような取り組みが展開されました。この日、宗教組織と非宗教組織の人びとが一堂に会し、子どもたち、特に最も支援の届き難いコミュニティに暮らす最も厳しい立場に立たされている子どもたちが健康で安全に過ごせるように協力して取り組むことを約束しました。11月20日はまた、「世界子どもの日」であると同時に、「子どもの権利条約」が採択された記念日でもあります。
ユニセフも参加した「世界子どものための祈りと行動の日2010」の式典では、妊産婦の保健と子どもの生存のための母乳育児の推進を訴えました。生後6ヵ月間は母乳だけで育てる完全母乳育児は、赤ちゃんの免疫機能を活性化し、開発途上国の乳児死亡率の主な原因となっている下痢性疾患や急性呼吸器感染症を予防するのです。
ユニセフは、合計20ヵ国で、幅広いネットワークを持つ宗教指導者と協力し、積極的な健康習慣を信者の人びとに促す取り組みを支援しました。
「ミレニアム開発目標を達成するための世界的な取り組みのなかで、対等のパートナーとして宗教コミュニティに協力を求めました。」ユニセフ本部プログラムディレクターのニコラス・アルプイ博士はこう話します。「宗教指導者たちは、家族からコミュニティレベルまで、社会のあらゆる階層の行動や習慣に影響を与え、子どもたちの生活にも、実質的かつ継続的な変化をもたらす大きな力を持っているのです。」
ユニセフは、子どもたちに影響を与える問題に対して、様々な宗派信条の指導者と共に解決に取り組んできた長い歴史があります。「世界子どものための祈りと行動の日2010」では、ユニセフは、20ヵ国で下記の活動を行いました。