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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

コートジボアール:政治的混乱が奪った教育の機会

【2011年3月9日 コートジボアール発】

© UNICEF video
ブアケブアケ町のマーティン・ルーサー・キング牧師高等中学校の誰もいない教室を見つめるアーサー君(12歳)。コートジボアールでは、多くの学校が未だに閉鎖されたまま。

昨年11月に行われた大統領選挙による混乱の影響で、コートジボアールの多くの学校がいまだに閉鎖されています。学校の再開を待ち望んでいる子どもたちの数は、80万人近くに上ります。

この混乱の影響は長期化するものと見られています。「今年度の学校は、危機的な状況です。もしこの混乱の間中、子どもたちが学校に通えなければ、中途退学者の割合がさらに増え、たとえこの混乱が収まったとしても、その子どもたちは学校に戻らないと思います。」 現地で活動するユニセフのパートナーの国際NGO現地事務所のガイ・ケーブ代表は、こう話します。

かつて、コートジボアールの教育の質の高さは、この地域のモデルとなっていました。しかし、2002年に内戦が勃発。コートジボアールの初等教育の入学率は、60パーセント未満に過ぎません。

政治的危機に“囚われ”た子どもたち

© UNICEF video
アーサー君は、学校が再開されるのを待ちながら、ブアケブアケ町の市場で、友だちと一緒に洗面用品を売っている。

学校の閉鎖は、コートジボアール全土に及んでいます。コートジボアール中部に位置するブアケブアケ町では、勉強する場所のない子どもたちが路上に溢れ、家計を助けるため物売りをしてわずかなお金を稼いでいます。

アーサー君(12歳)もこうした子どもの一人です。彼は、地元のマーティン・ルーサー・キング牧師高等中学校に6年生として在籍していましたが、昨年の9月に学校は閉鎖されてしまいました。このため、アーサー君は、手押し荷車に洗面用品を載せ、路上での物売りを始めました。アーサー君は、こうした生活よりも、学校で友だちと一緒に勉強を続け、将来はエンジニアになりたいと思っています。

「子どもたちが居るべき場所は、学校です。物事を学び、安心感を得ることができる場所なのです。」「子どもたちは、政治的な問題の犠牲にされてはなりません。武装勢力によって徴用されたり、児童労働や性的暴力、虐待、人身売買、病気の危険に晒されてはなりません。」ユニセフ・コートジボアール事務所のアゴスティーノ・パガニニ代表はこう話しました。

臨時学習センター

© UNICEF video
学校が閉鎖されても、アーサー君は、一人で勉強を続けている。将来は、エンジニアになりたいと思っているアーサー君。多くの彼のような子どもたちが、今、コートジボアールの学校の閉鎖の影響を受けている。

ユニセフは、パートナー団体と共に、子どもたちが一刻でも早く学校に戻れるよう支援しています。1万5,000人の避難民が、今年1月からキャンプでの生活を余儀なくされている西部のドゥエコウエをはじめ、各地域で、仮設学校の設置を始めています。

しかしながら、こうした学校は、教育を必要としている子どもたちのほんの一部をカバーしているに過ぎません。また、北部の地域では、教員も参加する国政への不服従運動が広がっています。このため、公立学校の再開はほとんど不可能な状況です。高まる政情不安のために、推定60パーセントの教師が学校に戻っていません。

一方、この2−3ヵ月の間に、南部では、公立学校が少しずつ再開していますが、政情不安が長引く中、人々の生活に大きな負担がのしかかっています。経済は麻痺。その影響で、一時解雇が大量に発生。また、多くの銀行も閉鎖され、子どもたちを食べさせたり、学校へ通わせるための費用を捻出することがますます困難になっています。さらに、今年に入り、食糧価格の高騰も続いています。

極度の貧困

ユニセフは、人々のこうした負担を減らすべく、全力で活動しています。コートジボアールの公立学校の学費は無料ですが、家族は、学校用品や学校に通うための雑費を負担しなければなりません。学校が再開されているところでは、ユニセフは、困窮している家族を支援するべく、教科書やペン、鉛筆、消しゴム、鉛筆削りといった学校用品の入った通学カバンを配布しています。

残念ながら、今日のコートジボアールの教育問題は、慢性的な貧困問題も絡み合った複雑なものとなっています。人々は、今、子どもたちを食べさせることも学校へ通わせることも難しい現実に直面しているのです。

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