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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2003年6月11日掲載≫

干ばつと水不足で栄養不良が深刻化
<エリトリア>

エリトリアのハガズの町。首都アスマラの北西100キロ、ガシュ・バルカ地方とアンセバ地方の境にある町です。ここに栄養不良を治療する小さなセンターがあります。10年来の大干ばつに影響を受けた子どもやおとなが何十人も、治療を受けています。

本来、ここは、雨期も定期的に訪れる土壌豊かな所です。しかし、昨年は雨が降らず、エチオピアとの長い戦争(1998〜2000年)の影響もあって、何千人もの人たちが故郷を追われ、避難しています。そのため、わずかに残る水源を求めて、多くの人たちが集まって来ている状態です。昨年、この地域と近くのデバブでは収穫がまったくありませんでした

エリトリア国民の3分の2にあたる230万人が干ばつの影響を受けています。国際社会からの支援は、注目を集めるほかの大きな緊急事態の陰に隠れて、限られたものでしかありません。隣近所が助け合うこの地方のならわしでしばらくは持ちこたえてきました。でも、今では食糧の備蓄もなくなり、多くの地域で、水も食糧も手に入らなくなっているのです。

エリトリアの子どもの28%は、すでに栄養不良状態にあり、体力のない子どもや老人たちが命を失い始めています。人々は黙して語らず、威厳をもって、これに対処してきました。ここでは悲劇も死も、表に出さないのです。ですから、本当はとても深刻な問題でも、統計がとれず、地理的にも孤立しやすいこの地域では、その深刻さが隠れて見えなくなることがあるのです。

栄養不良の子どもたちは、ユニセフの支援で治療用の栄養強化ミルク(F75とF100)の提供を受けています。また、多くの母親たちも慢性の栄養不良で治療を受けています。ユニセフは、ハガズのこのセンターと別の20のセンターにも栄養強化ミルクを支給し、そのほかの物資や医薬品も提供しています。ユニセフはDMK(デュラ、ミルク、ヒヨコマメの調合品=エリトリア版の栄養補給食ユニミックス)の地元工場デカメレでの製造を支援しています。

でも、製造機械が古いので1日に15トンしか生産ができません。ユニセフは新しい機械やスペアパーツ(代替部品)を提供することにしていますが、国際社会からの支援がないのが悩みの種です。ユニセフは、母親と子どもが栄養治療センターを出た後も、BP5<高タンパク・ビスケット>や微量栄養素を配り、急性栄養不良を回避する努力をしています。子どもの急性栄養不良を防ぐための費用は、1カ月わずか5ドルです。でも、栄養不良に対する集中的な治療と回復には、子どもひとりあたり(重度の栄養不良児に対しては)平均115ドル必要となります。それでも、子どもひとりの命を115ドルで救うことができるとすれば、高価過ぎることはないはずです。

ユニセフ・アスマラ事務所(2003年5月31日)

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