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「貧困や紛争が及ぼす、子どもの脳への影響は?」
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© UNICEF/NYHQ2014-0249/Pirozzi |
フィリピンを襲った台風30号の数カ月後、タクロバンに設置された「母親にやさしい空間」で眠る赤ちゃん。栄養不足など、乳幼児期に受ける影響は脳の発達にも大きな影響がある可能性が指摘されている。 |
人間の脳の発達は、その80%が5歳までに完了します。この時期、脳は生涯で最も速く、最も複雑に成長を遂げます。
この重要な発達時期は、人生に1度しかありません。しかし、世界では多くの子どもたちが、貧困、紛争、食糧不足など、子どもの健全な発育を脅かす、厳しい環境下での生活を強いられています。
脳の発達や機能に関する知識が豊かになってきている一方、子どもの発育を脅かすそれらの要因が、脳の発達に及ぼす影響を、私たちは十分把握できていません。育児放棄、栄養不良、精神的ストレスは、脳にどのような影響を与えるのでしょうか。これらの危険要因の影響を最も受けやすい時期はあるのでしょうか。
幼い頃に、脳に対する刺激や愛情、絆を感じ、安全な発育環境で育つことは、子どもの脳の発達に良い影響を与え、成長や学習、健康な発育のために重要である、ということが分かっています。
研究の世界でも極めて専門的であるこの分野は、他分野との連携を十分にとられないまま、独自に研究が進められてきました。そのため、多くの重要な疑問について、回答できるほどの成果は上がっていません。たとえば、“幼児期に脳へ良い刺激をうけると、栄養不良によるマイナスの影響を緩和させることが可能なのか”は、未だに明確な答えが出せていない、重要な疑問の一つです。
5歳までに脳の基礎的な部分の発達が完了し、この時期の経験が脳の発達に最も大きな影響をもたらすのであれば、どのような要因が脳の発達や機能と深く関係するのか、調査を進める必要があります。
脳の発達と乳幼児期の経験の関係性に対して理解を深めるため、ユニセフは様々な分野の研究者や関係者、神経学者が一堂に集う会議や協議を開催します。今後、ユニセフの乳幼児ケアの支援計画だけでなく、世界中の子どもたちの健康と福祉の向上に、多大な貢献が期待されています。
2014年4月16日、ユニセフは脳の発達に及ぼす影響に対する知識を深めるため、ユニセフ・ニューヨーク本部で会議を開催します。
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