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エチオピア:HIVに感染せずに、赤ちゃんがうまれてこられるように【2012年8月1日 エチオピア発】 アダネチさんは、陣痛が始まると、すぐに首都アジスアベバにあるサリス保健センターに運ばれました。 世界中の全ての母親が願うように、アダネチさんも元気な赤ちゃんを産みたいと望んでいました。しかし、彼女はHIVと共に生きています。適切なケアが施されなければ、お腹の赤ちゃんもHIVに感染してしまうかもしれません。 「私の子どもは(HIVに)感染しないでほしい」「私と同じ運命をたどってほしくはありません」アダネチさんはこう話しました。 ユニセフがパートナーと共に支援して、サリス保健センターで実施されている効果的な母子感染予防(PMTCT)プログラムによって、アダネチさんは、彼女の望みを叶える素晴らしいチャンスに恵まれました。 HIVと共に生きる母親の支援分娩室では、看護師のラヘル・ワンダフラッシュさんが、アダネチさんに薬を手渡しました。これは、HIV母子感染を防ぐため、母親と赤ちゃんのために行われている治療プログラムの一環です。 アダネチさんの赤ちゃんは、母乳を飲んでいる間、治療薬の投与をやめるように指示されるまで、薬を飲み続けます。こうした支援は、全て無料で行われ、母子感染が予防できます。 エチオピアでは、現在、HIV(母子感染)に対するサービスの恩恵を受けられるのは、必要としている妊婦のわずか24パーセント。アダネチさんもその幸運なひとりです。 また、妊婦検診でのHIV検査やHIVの母子感染予防治療に加え、保健センターでは‘母親同士のサポートグループ’も活躍しています。このグループは、HIVに感染していることが判明した母親のために、カウンセリングを実施。妊娠、出産、産後を通して母親と赤ちゃんの双方に最も望ましい恩恵が行き届くよう手助けしています。 また、保健施設での出産を促す活動は、このグループの重要な取り組みでもあります。保健施設で出産するエチオピア女性の割合は、10パーセント未満。これが、エチオピアの高い妊産婦死亡率の一因になっているのです。2011年の人口保健調査によると、この数は、出生10万人あたり676人に上ります。 病気との付き合い方を学ぶ
フィキルテさん(23歳)は、初めての妊婦妊娠検診を受けに保健センターを訪れた時、期せずしてHIV陽性であることを告げられました。 「検診で、アドバイスにしたがってHIV検査を受けました」「そうしたら、陽性であることが分かりました。とてもショックでした」(フィキルテさん) 母親同士のサポートグループが、フィキルテさんの助けとなりました。 「フィキルテさんがこの部屋にやって来たとき、彼女と同じ経験をしたたくさんの母親たちがいました」サポートグループの中でも助言役的存在であるエメベト・タムラトさんはこう話しました。 「今、たくさんのカウンセリングを受けています」「HIVに感染している私よりも年齢の若い人、治療を受けて生き続けている子どもたちに会いました。子どもたちは、学校にも通っているんです。こうした人々を見て、治療を受け始めたのです」(フィキルテさん) HIVのない世界を目指してユニセフは、HIV・先天性梅毒母子感染根絶計画の立案と共に、「母子感染予防拡大計画2012」を進展・実行させるべくエチオピア政府を支援しています。 また、ユニセフは、パートナー団体と共に、国内全域で、2,000人の看護師と助産師を対象に、母子感染予防と一体となった、緊急の産科医療と新生児ケアについての研修を支援しています。 HIVと共に生きるレムレムさんは、1歳半の息子のHIVの最終検査を受けに、サリス保健センターにやってきました。レムレムさんは、母子感染予防プログラムを受けて、この保健センターで出産しました。子どもの検査結果を聞くと、レムレムさんは心から大喜びしました。レムレムさんは、息子がHIVに感染していないことを、20ヵ月間の不安と期待の後に、ようやく確認できたのです。 「私の望みは、働いて、子どもを育てて、子どもを教育することです。息子には、将来、敬意を持って私のような人々の助けになるような医者になってほしいです。この国に役立つような人になって私を支えてほしい」「息子がHIVに感染していないことは、私の人生を意味あるものにしてくれました」 ※母子感染予防プログラムを受けている母親の名前は、プライバシー保護のため、全て仮名としてあります。 |