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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ガザ地区の武力衝突におびえる子どもたち


【2007年6月19日、ニューヨーク発】

© UNICEF Occupied Palestinian Territory/2007
武力衝突が発生したガザ地区で、通学用のバッグを肩に不安そうに歩く男の子

先日ガザ地区で発生したパレスチナ内部の武力衝突により、多くの若者や子どもたちが心に傷を受け、日常生活に支障が出ています。先週のイスラム原理主義組織ハマスとファタハの衝突により110人以上が死亡し、500人が負傷しました。

家族は外出することもできずに家の中で身をすくめ、多くの人々は電気も水も使えない状態です。若者たちは、夏の予定がすべて帳消しになり、毎日の生活が不確実なことの連続となってしまったことで落胆し、ただただ戦闘が終わるように願い、待つことしかできずにいます。

「先週はひどかったわ」と、パレスチナ人であるジュリーさん(17)はユニセフのラジオ・インタビューに答えました。「5日間にわたって銃の撃ち合いがつづいたんです。大変な状況でした。誰も家の外に出られず、窓に近寄ることもできなかったんですから」

「路上での戦い」
© UNICEF Occupied Palestinian Territory/2007
ガザ地区南部ラファの難民キャンプにて、戸口の上にいる兄弟を助けようとする女の子

爆弾はガザ地区の電気供給網に多大な被害を与え、多くの家庭で電気が使えなくなりました。停電により、下水や水の供給サービスにも支障が出ました。

最も強い不安や恐怖を感じていたのは、武力衝突が集中した地域の近隣で暮らす一般市民でした。「先週は本当に恐ろしくて、悪夢のようだった」と、クリス君(13)は言いました。「僕の家の近くで戦いが起こって、あちこちで銃の音が聞こえたんだ。家から一歩も出られなかった」「僕たちは浴室に行って、そこに一日中いたんだ。寝るときは、そのまま浴室の床に横になった。だって、銃弾が家の中に飛んでくることが怖かったから」。

「メチャクチャだった」と、もう一人の10代の若者ムスタファ君も続けました。「マスクをかぶった男の人たちが通りで戦って、爆弾を投げていたんだ。たくさんの、本当にたくさんの家が意味もなく壊された。たくさんの人たちが、通りを歩いただけで、時には家にいただけで殺されたんだ」

期末試験が受けられず
© UNICEF Occupied Palestinian Territory/2007
ラファの破壊された家の前で凧を揚げるパレスチナの子ども

タウジーヒ試験(大学入学のための資格試験)を受けていたムスタファ君や他の学生にとって、この武力衝突は大きなストレスをもたらしました。ある若者は試験で実力を発揮できず、中には試験をまったく受けられない若者もいました。それでも、毎日およそ2万4,000人の学生がタウジーヒ試験を受けました。

「銃撃戦がすぐ近くで行われている中で勉強に集中するのは、とても難しかった」と、ヤッファ君(18)は語ります。「2〜3日家から全然出られなかったから、僕も試験をひとつ受けられなかった」と、ムスタファ君もつづけました。これらの困難にも関わらず、ムスタファ君もヤッファ君も、希望する大学に入学するために必要な点数がとれることを期待しています。

ユニセフからの支援

先週の武力衝突を受けて、ユニセフはガザ地区に必要不可欠なワクチンを送り届けるべく計画を進めています。病院は大きな被害を受け、現在も血管手術用具一式や輸血用の血液、X線写真のフィルム、血管縫合糸、医療検査物品、整形外科用ギプスが不足しています。必須医薬品の多くも在庫が底をつきかけています。

© UNICEF Occupied Palestinian Territory/2007
ガザ地区北部にある難民キャンプで遊ぶ子どもたち

またユニセフは、通常の燃料供給網の再開を待つ間、パートナーであるCMWU(Coastal Municipalities Water Utility)を通じて、5万リットルのディーゼル燃料を提供しようと計画しています。

ユニセフと地元NGOのパートナーシップにより、心理社会カウンセリング・チームがガザ地区での活動を再開しました。このチームは現在、もっともケアを必要とする子どもを特定すべく、武力衝突で最大の被害を受けた地域の子どもを対象にスクリーニングを行っています。

恐れと不安の中で生きる

そんな中でも、ジュリーやクリス君、ムスタファ君、ヤッファ君のような若者たちは、これまで耐え続けてきたトラウマや将来への不安と、これからも向き合って生きていかなければなりません。

「電気や水が止まってしまうんじゃないかと不安です」と、クリス君が言いました。「ガザ地区を支えていた国々との国境が封鎖されてしまって、お金も食料も入ってこなくなるよ。去年の夏も同じことが起こったんだ」。「外に出かけるのが怖い。友だちも同じだよ。また争いが始まるんじゃないかと不安なんだ」と、クリス君は続けます。

「いつも『戦っている人たちは良い解決策を見つけてくれる』って願っているんだけど・・・」と、ジュリーは悲しげに言いました。「でも、彼らは争いを繰り返すの。何度も何度も。決してやめようとしないのよ」。

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