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グルジア:全ての子どもの権利を守る子ども開発センター【2009年11月23日 グルジア発】
吸入治療の間、マリアムちゃん(4歳)は透明のゴム製マスクを通して呼吸します。細かい霧がマリアムちゃんの顔の周りを漂っています。喘息の持病を持つマリアムちゃんは、トビリシに新しく設置された子ども開発センターで無料の喘息の治療を受けていました。 マリアムちゃんと彼女の家族は、2008年にグルジアの南オセチア周辺で勃発した武力紛争のために避難を余儀なくされ、こうした治療へのアクセスが困難な状況にありました。しかし、現在はこの新しいセンターで基礎保健ケアが提供されています。このサービスがなければ、マリアムちゃんの母親にはこのような治療を受けさせる余裕はありませんでした。 母親がマリアムちゃんをセンターに連れてきたことは、重要な決定となりました。このセンターの医師は、それほど重篤ではないのですが、マリアムちゃんの心臓に問題があることを発見し、定期健診が必要であると判断したのです。 包括的アプローチ
子どもの健康状態の検査のほかにも、この子ども開発センターでは心理面と行動面の発達も診断しています。ユニセフ、トリステ小児保健研究所、リトアニア政府の支援を受けて、このセンターはグルジアの早期幼児開発の先駆的役割を果たしています。 「これは、グルジアでは革新的なことです。ほとんどのセンターでは、子どもの健康状態の検査だけが実施されており、子どもの発達と行動については考えられていませんでした。」子ども開発センター長のマヤ・クヘルクヘウリゼさんはこう話しました。 グルジアでは様々な課題も残されており、乳児死亡率もそのひとつです。また、新生児の神経障害についての不十分な診断がいまだに広範囲で行われています。保健機関では、障害を持つ子どもたちと学習障害に関する十分なデータが不足しています。 こうした問題に対処するため、センターでは全国的な規模の調査に向けたデータベース作成を進めています。ユニセフはこのセンターの活動によって、グルジアでの早期幼児教育の総括的なアプローチが促進されると確信しています。 「全ての子どもたちが人生の最善のスタートを切ることが出来るように政府を支援したいと思います。学習の問題と同じように栄養、保健、開発についても取り組んでいきます。」ユニセフ・グルジア事務所のベンジャミン・パークス代表は話しました。 国家早期開発戦略このトビリシの子ども開発センターは、グルジアの国家早期開発戦略によって設立が決まりました。ヤシュビリ小児病院内に設置されたこのセンターは、医療従事者やトビリシ州立医科大学の医学生を対象とした研究所や研修施設としても機能しています。 「ここでは手厚いケアを受けることができるし、このセンターにはとても信頼できる専門家もいます。」マリアムちゃんの母親はこう話し、他の母親たちにもこのセンターを薦めるつもりだと付け加えました。 基礎保健ケアと予防医療へのアクセスは、子どもの権利条約第24条に、子どもが健康でいられるように出来る限りのことをしなければならないと明記されている重要な権利です。
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