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ガーナの子どもたちが参加して『2003年世界子供白書』を発表! 子どもたちは保護するもので、その意見を聞く必要はない? 「好奇心旺盛な心」の代表ゴッドゥイン・アメウォデ君の言葉:「子どもたちとその友達のみなさん、そしてここにいらっしゃるゲストのみなさん、2003年の『世界子供白書』の発表記者会見にようこそ。今年の白書のテーマは「子ども参加」です。これを見れば、子どもたちが、どのような形で、自分たちに関係することに「参加」しているのかが分かると思います。 今日は、ぼくたちが話して、おとなが聞く立場です。これをとてもうれしく思います。今まではおとなが話し、ぼくたちは聞く立場でしかなかったからです。今までは、何かを言ってもほとんど聞いてもらえませんでした。ジャーナリストでさえぼくたちの言うことを伝えることはしませんでした。つまり、ぼくたちの「参加」はスタート地点から先に行くことはなかったのです。 子ども参加は、意志決定のプロセスで子どもたちの意見が検討されるのでなければ意味がありません。もちろん、おとなのほうが賢いのは分かっています。でも、おとなでなければ賢くないというものでもないと思います。もちろん、子どもですから、過ちをおかすこともあるかもしれません。でも、そうした試行錯誤が、おとなになったときの準備になるのです。今のうちにそういう経験をしておけば、おとなになってからも、真正面から問題と向き合って取り組んでいけるようになると思います。面倒なものを避けて通って、ごまかしていくやり方は良くないと思います。 国連の「子どもの権利条約」とガーナの「子ども条約」は、子どもの参加について規定しています。でも、子どもの権利はどれだけ実現されているのでしょうか?子どもたちが何か発言をしたとたんに、それを阻止しようとする人もいます。でも、子どもだって、機会さえ与えられれば、世界に変化をもたらすことができるんです。 「子ども参加」は、子どもの意思がすぐに、そのまま取り上げられるというものではありません。おとなの役割のほうがまだまだ大きいのです。開発分野のパートナーのみなさま、子どもと一緒ならば大きな変化を世界にもたらすことができます。ぼくたちが得意とする分野では、ぼくたちに任せる部分を作ってください。そして、ぼくたちが何か間違いを犯したら教えてください。そして、何よりも、まずチャンスをください。子どもたちにもできるはずだ、という自信をもって任せる部分を作ってください。私たちが住む子どもの世界への旅は、始まったばかりです。ありがとうございました」 リマ・サラ、ユニセフ西部・中央アフリカ地域事務所長の声明とご挨拶:「ユニセフ西部・中央アフリカ地域事務所を代表して、ガーナから『2003年世界子供白書』の発行を発表できて、とても光栄に思います。それというのもガーナが、子どもの権利の実現に向けて努力したアフリカ地域のパイオニア的な存在だからです。歴史を振り返りますと、ガーナは子どもの権利条約を批准した世界最初の国です。この場をお借りして、子どもと女性の福祉の推進役になっている、この美しいガーナの人々と政府に、私は敬意を表したいと思います。 ご存知かと思いますが、『世界子供白書』は、世界の子どもの状況について述べた年1回発行の報告書で、子どもの福祉面で重要な課題になっていることに焦点を当て、行動をとるよう促しています。今年の白書は、子どもの参加がテーマとなっていますが、これはユニセフの優先項目の一つです。 でも、なぜ「子どもの参加」が大切なのでしょうか?
「子どもの参加」とはどういうことを意味するのでしょうか?
「子どもの参加」はなぜ大切なのでしょうか?
『2003年世界子供白書』は、何百万もの若者たちが民主的な手順から疎外されていると感じていると報告しています。子どもたちに関係があることについては、彼らの声が聞かれなくてはなりません。そのための「子ども参加」です。 紛争で傷つき、貧富の差があるこの世界で子どもたちが生きていくには、保護を受け、耳を傾けられ、自分たちの未来を築くために役割を担えるようにする必要があります。それにはまず、彼らの言葉に耳を傾けることが必要です。なぜなら、彼らが何よりも声を大にして言っていることは、わたしたちおとなが子どもに耳を傾けてくれないということだからです。その次にしなければならないのは、子どもたちに関係がある事柄については、彼らに積極的な役割を担わせること。そして、彼らの特別な洞察力を吸収し、プラスの変革をもたらそうとする彼らの情熱を取り入れる必要があります。 子ども参加は、HIV/エイズにより孤児となってしまった15歳未満の子ども1340万人にも重要な意味があります。2010年までに、エイズ孤児の数は2500万人になると言われています。エイズ孤児らは、いきなり「世帯主」となり、幼い妹や弟の面倒を見るために、学校を中途退学し、家計を支えるために働き、おとなとしての重責を担うことになります。本来ならば、学んだり、遊んでいたりする年頃なのに。 今、若者たちは「知る権利」プロジェクトを通して、参加しながらHIV/エイズについての情報を集め、それを友達に広める運動をしています。これにより、HIVの感染が減るのではないかと期待しています。知識や参加という意味で、HIVの問題は、恐らく一番の優先事項になるでしょう。 そのほかにも西部・中部アフリカでは、「若者議会」が多数の国で設置されています。若者たちは、政治・経済・社会的な議論の中に積極的に参加しているのです。議員の間にもネットワークができ、若者たちとアイデアや経験を交換しています。 ナイジェリアでは、子どもの権利クラブが、ユニセフの予防接種キャンペーンの広報に参加し、母親たちに予防接種の大切さを伝えたり、予防接種を受けていない子どもたちを探し出したりしています。このプロジェクトが始まる前は1カ月に8人しか予防接種を受けていない状態だったのが、プロジェクトが始まってからは月に300人が予防接種を受けるようになりましたし、母親たちも医療クリニックを信頼するようになり、今では1月に300人以上が訪れています。 2002年5月の国連子ども特別総会では、子どもたちが国連総会で演説を行いました。これは史上初の快挙でした。子どもたちは情熱を込めて、誠実に、また希望をもって、彼ら自身しか語れないこと---つまり21世紀を生きる若者としての経験を語ったのです。意思決定に子どもの声を反映してほしいと彼らは訴えました。また、指導者たちに対しては、教育、保健ケア、保護の面で、もっときちんとした行動をとって欲しい旨、訴えました。一方、政府は子どものために、また、子どもと一緒になって、21世紀にふさわしい子どもの世界を作ることを約束しました。 『2003年世界子供白書』が「子どもの参加」の面でいろいろな活動を引き出してくれることを願っています。子どもと若者たちに情報を提供し、彼らの参加を促すことで、将来を明るいものにできるのではないかとユニセフは考えます。前進を続けるために、子どもと共に世界を変えるために、子どもとパートナーシップを組まなければなりません。‘子どもにふさわしい世界は、すべての人にふさわしい世界’になるはずですから。
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