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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

ギニアビサウ:衛生習慣の普及で、子どもたちをコレラの脅威から守る

【2008年10月6日 ギニアビサウ発】

© UNICEF Bissau/2008
ユニセフの支援でビサウ中央病院に設置されたコレラ患者のための仮設病棟前に立つ看護士。

世界で最も貧しい国のひとつ、ギニアビサウ。ホセ・トゥレさんは、金属加工の仕事をしながら、日々厳しい生活を送っています。トゥレさんは、故郷のバファタに家族を残し、より良い稼ぎを求めて首都ビサウにやってきました。しかし、この大きな町では、コレラという新たな困難が待っていたのです。

つい最近の雨の金曜日のことです。バファタから遊びにやってきていたトゥレさんの12歳の息子、サリウ君が、突然、お腹に激しい痛みを訴えました。トゥレさんは、しかし、その時は、息子がコレラに感染しているとは思いませんでした。

「コレラについては、何度も聞いたことがありました」と、トゥレさんは話します。「毎年、雨季になると、国中のラジオが、コレラついて注意を喚起します。でも、それが私たちの身に降りかかるとは思いませんでした。」

サリウ君の症状が悪化するにつれて、トゥレさんは、パニックに陥りました。「僅か一日の間に、サリウの顔は蒼白となり、やせ細ってしまったんです。」と、トゥレさんはその時の様子を振り返ります。「近所の若い男性が、ビサウ中央病院に息子を連れて行くのを手伝ってくれました。『コレラ棟』と呼ばれている病棟にいた患者の数に呆然としました。

患者であふれる病院
© UNICEF Bissau/2008
コレラに感染した人々で溢れるビサウ中央病院で、他の2人の患者と一緒に横たわるサリウ君(12歳)。

ギニアビサウでは、10年以上にわたり、コレラの大量発生が続いています。毎年雨季が、コレラの流行のピークです。2005年は、特に被害が激しく、2万人以上が感染。数百人の命が失われました。

なぜこのような事態が? それは、この国の老朽化した水と衛生設備—そのほとんどは植民地時代から使用されています—がもたらした不幸な結果なのです。多くの人々が、浄水処理されていない飲用に適さない水源を利用しています。ビサウ市内のわずか20パーセントの人々しか、水道水へのアクセスがありません。そして、人々の間に適切な衛生習慣が根付いていないことも、水の汚染のリスクを高めています。

トゥレさんの息子サリウ君も、最近感染した9000人の患者のうちのひとり。このうち、少なくとも160人が命を落としました。今年のコレラの発生は、ギニアビサウ南部で5月から始まりました。7月までに、このコレラの流行は首都に達し、中央病院は、新たな患者ですぐに溢れかえりました。

衛生習慣の普及

患者で溢れかえる中央病院を助けるため、ユニセフは、患者を収容できるテントを提供。一人でも多くの患者にベッドを確保し、より安全な衛生施設(トイレ)も提供しました。

ユニセフはまた、コレラの感染の拡大を防ぐため、若者のチームを訓練。ビサウ市内で、彼らが人々に適切な衛生習慣を普及する活動を支援しています。この若者のチームは、また、こうした活動と並行して、水源の殺菌や、一般家庭を対象に、家庭でできる浄水方法を実演して教えています。

ユニセフは、保健省や市民団体、宗教的なリーダーなどと一緒に、コレラについての正しい知識の普及にも力を入れています。ギニアビサウでは、コレラ患者に対する偏見が根強く、人々は、仮に感染していても、治療を受けることをためらうことが少なくないのです。

国全体の問題

回復し始めたサリウ君は、父親のドゥレさんの元に戻りました。トゥレさんは、ビサウ市を離れることを考えています。

「近いうちに、コレラのような問題が起きないバファタに戻ろうと思います。」とトゥレさんは言います。

しかし、住む場所を移動しても、何の役にも立たないかもしれません。コレラは、国の農村部でも問題となっているのです。農村部の人々が利用している水源の半分以上が、保護されていない井戸や河川。常に外部からの汚染にさらされているこうした水源は、水を媒介にする感染症の発生の危険性を常にはらんでいるのです。

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