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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ハイチ:子どものために安全な水を−ソフィアの夢

【2007年5月8日 信濃毎日新聞掲載分】

© UNICEF/HQ05-1922/LeMoyne
川で水を汲むハイチの子どもたち。 ひとつ井戸があれば、その地域に暮らす人々に大きな希望をもたらす。

安全な飲み水が手に入らないことや、衛生的なトイレが使えないことによって、世界では年間150万人の5歳未満の子どもたちが下痢などの病気で命を失っています。 また、安全な水を手に入れるために、遠くまで長い時間をかけて水を汲みに行かなければならないことは、それだけで重労働であり、子どもや親から、教育の機会や子どもの養育の時間を奪っています。

中米のハイチ、レオガン地域に暮らすソフィアはまだ15歳ですが、学校に通いながら2歳の娘ソフィアーナを育てているシングルマザーです。ハイチでは、安全な水を使える人口の割合は全国平均で54%です。残念ながらソフィアは、安全な水を近くで手に入れることができない46%のひとりです。そしてハイチでも、汚れた水による下痢性疾患が、5歳未満の子どもたちの主要な死因となっています。 ソフィアは毎朝とても早い時間に起きて、1時間以上かけて井戸まで水を汲みに行きます。彼女の家の前には井戸がありますが、4年前にポンプが壊れて以来、ずっと使えないままなのです。彼女が学校に行っている間は、2歳のソフィアーナは叔母さんに見てもらっていますが、その時に飲ませる水が必要なのです。水汲みが終わると、ソフィアはさらに1時間かけて学校に通います。

「でも、とてもくたびれてしまって毎日毎日はできないの。だからときどき、隣の家の裏庭に雨水を貯めてあるところがあるので、そこから分けてもらうこともあるわ。」 ソフィアの悩みは、その汚れた水が原因で娘のソフィアーナがしょっちゅう病気になり、自分も学校を休まなければならなくなることです。

「叔母は娘が病気の時は面倒を見たがらないの。そうすると、私はずっとソフィアーナと一緒にいなければならないので、学校の勉強の方はなかなか進まない。叔母は気が向いたらソフィアーナの面倒を見てくれるだけなので、他には私しかこの子をみる人はいないんです。」

「家の前のポンプがちゃんと動いてくれたら…。そうしたら、くたくたに疲れて学校に行くこともないし、学校で学んだことを復習もできる。それに、ソフィアーナともっと一緒にいられるし、もっとちゃんと食事を作ってあげられるからソフィアーナも健康になるのに…。この子がずっと病気で、学校も私の夢も諦めなければならないかもしれないって考えると、とても悲しくなります。」 ソフィアの夢は、学校を続け、大学を出て、いい仕事に就き、自分とソフィアーナが暮らす素敵な家を買うことです。 「この子には、人生の中でのさまざまな選択を自分でできるようにさせてあげたいんです。誰と結婚して、いつ子どもを産むかということも…。せめてこの子には、私よりいい人生を送って欲しいんです。」

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