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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

インド:サイクロン「アイラ」の被災地で、支援活動をスタート

【2009年5月29日 インド発】

© UNICEF

マドフミタちゃん(10歳)は、学校が大好きです。将来は、学校の先生になることを望んでいます。しかし、インド北東部の西ベンガル州デルタ地域に位置するマドフミタちゃんの村は、今週初め、サイクロン「アイラ」の直撃を受けました。今、マドフミタちゃんは学校に通うことができません。彼女が持っていた学用品は、全て使い物にならなくなってしまいました。

マドフミタちゃんの両親は、サイクロンで壊された家の中から、わずかに残された使えそうなものを掻き集めています。9人家族のマドフミタちゃん一家は、森林やトラで有名なインド東部のサンドラバンズのゴサバ島の堤防近くで、避難場所を探しています。デルタ地域の37島のうち14島は、この月曜日にサイクロンの直撃を受けてから、外界から完全に孤立したままです。サイクロンの被害を受けた人々は、今日までに、510万人にのぼると見られています。

「想像を絶する状況です。これまでの人生で、こんなにひどい状況は見たことがありません。」村の長老のひとり、クリパ・シンドフ・パラドハンさんはこのように嘆いています。「私たちは、嵐やサイクロン、洪水への対処の仕方を学んできました。でも、今回のサイクロンによる被害は、計り知れないものです。高波から私たちを守ってくれていた堤防は破壊され、激流が押し寄せてきたのですから。」

修道女のジェスヤさんは、この地域で活動するNGOの保健ボランティア、パリィウンナヤン・サミティさんと、残念そうに首を横に振っています。「私たちがこの地域で仕事をするには、ボートと自転車は必需品でした。でも、全てが流されてしまって・・・。何もかも、初めからやり直さなければなりません。」

水が引き、大地が乾くまでには、まだ時間がかかるものと見られています。堤防が破壊されてしまったため、サイクロンが去った今でも、潮が満ちても引いていても水が入ってくるのです。被災地を回る間、NGOのボランティアのラジェシュさんの目には常に涙が溢れていました。自らも家を失ったラジェシュさんは、心配そうに話します。「間もなく雨季がやってきます。そうなったら、この辺りはどうなってしまうのでしょう?」

ユニセフ・インド西ベンガル事務所が派遣した緊急支援チームは、ボートでガサバ島を訪れ、多くの女性や子どもたちが、このサイクロンの被害を受けていることを確認しました。しかし、こうしたアクセスの難しい地域へ支援を届けることは、容易なことではありません。先述のマドフミタちゃんが通っていた学校と同様、現在、この島の学校も、家を失った住民の避難所として使われています。飲料水や食糧、そして避難所の設置が緊急に求められています。

「私たちが見た村という村が、おしなべて冠水していました。壊れた堤防の上に逃れた子どもたちや親御さんたちは、わずかに残された家財道具をとにかく何でも掻き集めています。人々は、こうして集めた家財道具を失わないよう、バナナの葉で作ったボート中に入れていました。」ユニセフ緊急支援チームに参加したナシル・アテック広報官は、現地の状況をこう伝えました。

「ラジオを通じて流された警報を住民が聞いていた地域では、他の地域より死者の数は限られていました。しかし、水面には牛や魚の死骸が浮かんでいます。このため、水が引き始めると、水を媒介とする疾患が流行する危険性が高くなります。」ユニセフ・西ベンガル事務所のパルナスリ・レイ・ショウオドフリ緊急支援事業担当官は話します。

西ベンガル州政府は、サイクロンの影響を受けた人々のために、防水シート、水保管用の袋、ドライフーズなどの配布を始めています。一方、インド政府の国家災害対応部隊は、被災者や行方不明者の発見と救出活動に力を入れています。

ユニセフは、現地の支援団体などと協力して、飲料水用ポリタンク2000個、浄化剤80万粒、家庭用衛生用品3,134セット、経口補水塩9万包など、インド国内に備蓄しておいた緊急支援物資の配布をスタートさせています。

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