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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2004年1月7日掲載>

ピンクの象とビー球が作る楽しい授業!
<インドネシア>

 「アサラム・アライクム(こんにちは)、こちらはニラ・メガサリです。お聞きの放送局は97FM, MBSラジオです。今日は、カリサリ小学校のみなさまに、ピンクの象とネコたちのお話をお届けします」

 3時の放送をみんなが楽しみにしています。放送は、330人いるカリサリ児童会の中でも成績の優秀な子どもたちが担当します。放送内容は子どものお話。このほかにもクラスごとの宿題が読み上げられ、半径2キロ以内にラジオ放送されます。これは3世帯を除いて、学校のほぼ全児童の家庭に流れることになります。

 カリサリ一帯は土壌豊かなところですが、バニュマス地区のこの地域は経済的に貧しい地域です。全世帯の約70%が農業や小さな家内工業で生計を立てていると学校関係者は言います。放送時間が3時なのは、子どもたちが日の沈む3時間前には家に帰宅し、宿題にとりかかれるよう、親たちを促すためです。

 学校を中心にしたこのラジオ・プロジェクトは、ユニセフの支援で作られたものです。この4年間に、バニュマスの約940ある小学校のうち、115校で「子どものための学習コミュニティの創造(CLCC)」プログラムが実施されるようになりました。CLCCはユニセフ、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、ニュージーランドAID、インドネシア教育省、地元政府との協働で行われているもので、全国で展開されています。同様のプログラムは中央ジャワ州のほかの6地区と7州(東ジャワ、西ジャワ、南スラウェシ、東ヌサ・テンガラ、西ヌサ・テンガラ、マルクとパプア)の学校でも実施されています。

*授業の進め方

 プルウォケルトの北にあるカラングロ小学校では、活発で楽しく、効果の高い学習カリキュラムが実践に移されています。

 「こんなふうに勉強すると、すごく楽しいんですよ」と話すのはベッティ・ユリア・クスマニングルムです。11歳の彼女は、かつての授業がどのように進められていたかを覚えている最後の年代です。「ずっと前は先生が一方的に話すのを、座って聞いているだけで、すごくつまらなかったんです。でも、今はどんどん質問してもいいことになっています。先生はガイド役、アシスト役です。作業をするのはあくまでも私たち自身なんです」

 バレーボールとバスケットのコートを取り囲むようにして、コの字型に並ぶ校舎。外壁には、みんなが読んでぼろぼろになった雑誌がぶら下がっています。子どもたちがグループになって、理科の野外授業について話し合っています。明るい教室の壁には生徒たちの作品が並んでいます。天井からは手作りのモビール。読書コーナーには机があり、その上には個人やクラスのプロジェクトの成果が飾ってあります。

 「クラスを見れば、このプロジェクトがうまくいっていることが分かりますよ。子どもたちは想像力豊かになり、学校に来るのも楽しいらしく、成績も上がっています」とアグス・ワルシテは言います。ワルシテは、親たちが作る助言委員会の委員長で、2人の子どもの父親でもあります。「今では村全体がこのプロジェクトに関わっていますね」

 「1から1000に進むよりも、ゼロから1に進むほうがよほど大変である、ということわざがありますが、プログラムをスタートさせるにはほんとうに苦労しました」と語るのは5年生の担任、イブ・ヘリヤンティさんです。「教師にとっては従来のやり方のほうが簡単なのです。教壇に立って、一方的に話をしていれば良かったのですから。でも、今は準備が大変です。それでも、すでにシステムが確立され、その中に組み込まれていますから、前よりもずいぶん楽になりました。それぞれが満足していますよ。今は生徒、教師、みんながハッピーです」

 さて、MBSラジオでは、ピンクの象の話がいよいよ終わりに近づきました。ノヴィ(12歳)が宿題の課題を発表する準備をしています。「将来はジャーナリストになりたいので、これはすごくいい勉強になっています。宿題を発表して、みんなにお話を聞かせてあげられるのがとてもうれしいの。おかあさんも、ラジオから流れる私の声を聞いてとてもうれしそう!」

2003年12月
ユニセフ・インドネシア事務所

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