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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたちは今

イラク北部・ニナワ州シンジャル
相次ぐ避難民に支援物資届く
6月中の市民の犠牲は少なくとも1,500人

【2014年7月2日 ドホーク(イラク)発】

緊急支援物資を抱えて、身を寄せている建設中の建物に帰る男の子。

© UNICEF/NYHQ2014-0832/Khuzaie

イラク・アルビルで、配布された緊急支援物資を抱えて、身を寄せている建設中の建物に帰る男の子。

ユニセフは2014年7月2日、イラク北部ニナワ州の西部の町、シンジャル(Sinjar)に初めての人道支援物資を届けました。シンジャルに避難する人は増加しており、支援物資は避難者数千人の支援に役立てられます。

過去7年で、ひと月あたりの死亡者は最多

ユニセフ・イラク事務所代表のマルツィオ・バビルは、シンジャルから戻るにあたり、次のように述べました。

「現状は、子どもたちにとって極めて厳しいものです。8,000世帯が避難しており、スタジアムには数百人の子どもが身を寄せています。宗教施設に避難している子どもたちは、墓石の中遊ぶほかありません。子どもたちは、避難先で少しは安心を感じているかもしれませんが、日々の生活がこのように残酷に変化したことをとても怖がっており、混乱しています」

7月1日、国連イラク支援ミッションは、6月中に少なくとも市民1,500人が国内で殺害されたと発表しました。過去7年において、ひと月あたりの死亡者が最も多くなっています。過激派集団がイラク国内数カ所を占領し、戦闘を含む暴力の激しさは増しています。過激派集団による即時の処刑や、誘拐されるといった話を聞き、占領された地域の住民数十万人は、自宅を離れ、避難しています。

シンジャルに初めての人道支援物資を配布

今回支援が届いたシンジャルは、アルビルから約190kmの場所にあり、人口は3万5,000人。現在、5万人が避難してきており、その半数以上は子どもたちです。親族の元へ身を寄せる人がいる一方で、多くの家族は、政府の建物や屋外におり、焼けるような日差しや風を遮るものもない状況で暮らしています。水やトイレ、保護といったサービスは、あったとしても不十分なものです。

6月29日、支援物資を積んだユニセフ一行はドホークを出発。戦闘地域を抜けながら、ボトル入り飲料水2万4,000リットル、衛生用品の詰め合わせ2,000セット、貯水用容器1,300缶、1セットあたり500人の子どもたちのおもちゃなどが詰まったレクレーションキット10セットを届けました。避難者には妊娠中の女性が多くいることから、UNFPA(国連人口基金)はユニセフに支援物資を提供。安全な出産に必要な器具が入ったキットと女性用衛生用品の詰め合わせ各150セットも届けました。

UNFPAイラク事務所のジョルジュ・ジョルギ氏は、妊産婦への支援にあたり「UNFPAは、女性と少女の尊厳を守り、すべての出産を守るとのモットーのもと、支援物資を提供しました」と述べました。

バビル代表は「今回実現できた支援は、避難している方々が必要としているものの一部に過ぎません。ユニセフは引き続き、イラクの子どもたちのために全力で支援活動を行います」と述べました。

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