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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

元少年兵 イシュマエル・ベアさん、ジャマイカの子どもたちに非暴力のメッセージ

【2008年5月1日 ジャマイカ・キングストン発】

イシュマエル・ベアさん
© UNICEF/HQ07-0097/Susan Markisz
『戦場から生きのびて—ぼくは少年兵士だった』(2007年)の著者イシュマエル・ベアさんは、昨年11月、ユニセフ紛争の被害にあった子どもたちのための代弁者に任命されました。

元少年兵のイシュマエル・ベアさんが、暴力が多くの子どもたちの日常の一部になっているジャマイカを視察。力強いメッセージで、子どもたちを励ましました。

イシュマエル・ベアさんは、ユニセフ紛争の被害にあった子どもたちのための代弁者としての最初の任務で、今週、ジャマイカを訪問。暴力が日常の一部という環境で育つジャマイカの子どもたち。犯罪やギャングの抗争で生命が脅かされている子どもたちも少なくありません。

暴力は、ジャマイカの子どもにとって、大きな脅威です。2歳から14歳の子どもたちの87パーセントは、心理的あるいは身体的虐待を受けていると報告されています。国の調査によれば、コミュニティーが安全だと思っている子どもは、わずか28パーセントに過ぎません。

ユニセフが支援するNGOで、ベアさんは子どもたちに語り掛けました。
© UNICEF/2008/Markisz
ユニセフが支援するNGOで、ベアさんは子どもたちに語り掛けました。NGOでは、首都キングストンのスペイン街の10代の子どもたちに、教育とライフ・スキル  トレーニングを行っています。

ギャング抗争に巻き込まれる子どもたち

「皆さんには、暴力に打ち勝つだけの強さと能力があります。」と、首都キングストン西部のスペイン街にいる子どもや青年に向けて、ベアさんは語りました。また、ベアさんは、ユニセフが支援するNGOを訪問。NGOでは、暴力の危険にさらされた子どもたちに、教育、ライフ・スキルのトレーニングなどを提供しています。

ベアさんは、13歳のとき、故郷シエラレオネの内戦で戦うことを強いられました。幸運にも救出されたベアさんは、ユニセフの支援で社会復帰。ベアさんは今、世界各地を巡りながら、紛争に子どもを動員することに反対するキャンペーンを展開。若者たちに暴力に抵抗するように語り掛けています。

ジャマイカでは、子どもたちが否応なくギャング抗争に巻き込まれています。子どもたちは、スパイや見張りとして使われ、武器を隠したり使ったりすることを強いられたりすることもよくあります。キングストンにあるトレンチタウンやアーネット・ガーデンズ、フェデラル・ガーデンズ、ダンカークなどの暴力がはびこる地区で、ベアさんは、教育や就労の機会がない子どもたちに、ギャングの誘惑に負けないよう、強く諭しました。

ユニセフ紛争の被害にあった子どもたちのための代弁者 イシュマエル・ベアさんは、暴力がはびこる首都キングストンのトレンチタウン地区で、若者とサッカーで交流しました
© UNICEF/2008/Markisz
ユニセフ紛争の被害にあった子どもたちのための代弁者 イシュマエル・ベアさんは、暴力がはびこる首都キングストンのトレンチタウン地区で、若者とサッカーで交流しました。

貧困地区に差し込む「光」

ユニセフが支援する東部平和センターは、マウンテン・ビュー地区の子どもたちにとって、天国のような安全な場所。ここで、ベアさんは強く語りました。「暴力は、自分の人生に関わりがないときは魅力的に見えるんです。ところが、ひとたびそれに巻き込まれると、暴力にいいことなどひとつもないことがわかるでしょう。」

暴力の連鎖を断ち切るには、長い道のりが必要だとベアさんは語気を強めました。ベアさんは、暴力を振るう若者も、暴力の連鎖の被害者として治療されなければならないと訴えます。無償の愛や支援、許しが必要だといいます。貧困地区の子どもや青年がもっと学校に通えて、就労の機会を得てお金を稼ぐことができるようにすることも大切だと訴えます。

ベアさんは、困難な人生から抜け道を見出せない子どもたちに希望を与える重要性を、強く信じています。暴力が日常化しているジャマイカの子どもたちに、ベアさんの励ましの言葉は深く響きました。

ダンカークの青年が話してくれました。「イシュマエルさんの言葉は、僕らの心に届いています。彼は、希望のない子どもたちにも、多くの希望を与えてくれます。」

イシュマエル・ベアさんの著作 『戦場から生きのびて—ぼくは少年兵士だった』 について>>

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