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日本政府、二ジェールと中央アフリカでのユニセフの活動を支援【2011年6月27日 ニアメ・バンギ発】
日本政府は、27日、栄養不良対策をはじめとするユニセフのニジェールでの支援活動に対し、500万米ドルの支援を決定。また、同日、中央アフリカ共和国の北部と南東部の武力紛争における社会サービスのための施設の再建のために、ユニセフに対し、約120万米ドル(9億9800万円)の拠出を内容とする支援を行うことも発表しました。 今回発表された支援を通じて、ニジェールでは、食糧危機の最も大きな影響を受けているディッファ、マラディ、タホウア、ジンデール地域に暮らす120万人以上の子どもたちと20万人以上の女性たちが、この支援の恩恵を受けることになります。 日本政府によるこの支援は、6歳から5歳未満の子どもたちの中度および重度の栄養不良の予防と治療、また、ニジェールの子どもの三大死亡原因のひとつであるマラリアに対する妊産婦の予防と治療のために活用されます(下痢性疾患、マラリア、呼吸器感染症は、ニジェールの子どもたちの三大死因です)。 ニジェールの5歳未満児のうち慢性的な栄養不良に陥っている割合は、47パーセントにものぼります。世界中の5歳未満児の全急性栄養不良(GAM)の割合は減少しているにもかかわらず、ニジェールの8つの地域のうち5つの地域で、世界保健機関(WHO)が、人道支援介入が必要な危険域と定める15パーセントを大きく上回ったままの状態です。全般的な健康状態を示す指標は改善されているものの、ニジェールでは、非常に多くの子どもたちが、予防も治療も可能な病気で命を落としているのです。 「世界中の皆様からのユニセフの活動に対する支援、特に、小児期の疾患の削減に的を絞った活動に対する財政的な支援は、ニジェールの子どもたちに奇跡をもたらしています。これは、最新の数値でも明らかになっていることです。」ユニセフ・ニジェール事務所のグイド・ルナレ代表はこう話します。 事実、2005年時点で5人にひとりだった5歳未満児の死亡数は、2010年には8人にひとりに減少していることも明らかになっています。こうしたニジェールにおける成果は、二ジェール政府とパートナー団体による絶え間ない努力と、費用対効果の高い命を守る活動を実施するための財政的な支えがあったからこそ成し遂げられたものです。 保健サービスの農村地域への拡大や政府による無償の保健ケアの提供、重度の栄養不良児の積極的な確認・調査の拡大、照会制度の充実と栄養不良児の症例と事例を基にした適切な対処が実施されています。また、予防接種の改善や、殺虫剤処理された蚊帳の大規模な配布といった活動が、ニジェールの子どもたちを様々な病気から守り、命を落とす子どもたちの数の削減に貢献してきたのです。 20万人の子どもたちへの支援
一方、中央アフリカ共和国では、今回発表された日本政府の支援により、最も厳しい立場にある少なくとも20万人の子どもたちが、基礎教育、保健ケア、安全な飲料水と適切な衛生施設(トイレ)へのアクセスを得ることになります。 2011年6月27日、中央アフリカ共和国のバンギで、同国のフォスタン=アルカンジュ・トゥーアデラ大統領、教育大臣、保健大臣、その他の政府高官の立会いの下、山本啓司駐中央アフリカ国大使とユニセフ・中央アフリカ共和国事務所のタニャ・シャプイサ代表が今回の支援の覚書に署名し、今回の日本政府による支援が始めて発表されました。正式な合意書は、国際協力機構(JICA)とユニセフ東京事務所により締結される予定です。 「ユニセフを代表して、日本の皆様に心から感謝申し上げます。日本の皆様は、開発途上にある世界中の国々を長年支援してくださっています。震災後でさえ、支援を継続してくださっているのです。」シャプイサ代表はこのように話し、日本の中央アフリカ共和国への支援により、多くの子どもたちの命が守られ、武力紛争の影響を受けている地域の数え切れないほどの人々に、教育を受ける機会や保健サービスを提供し、生きる権利を与えることになると、付け加えました。 中央アフリカ共和国は、長年続いた武力紛争がやっと終息しつつある貧しい国で、国家再生の取り組みは遅れています。まだ一部では武力衝突が続いている地域もあり、北部と南東部の地域をいまだに不安定な状況が続いています。ほとんどのインフラ設備は、いまだに壊滅状態です。5歳児未満死亡数をはじめとする指標は、世界で最も深刻な状況にあり、ミレニアム開発目標を達成するために、特別な支援が求められています。 「日本政府の支援もあって最近実施された大統領選挙と国民議会選挙が、特にこのプロジェクトを実施しているこの地域での平和構築と国全体の人間の安全保障の強化に繋がることを期待しています。こうしたことの本当の恩恵が、国中の人々に行き届くように。」(山本啓司駐中央アフリカ国大使) 今回の支援は、2011年3月に発生した東日本大震災後、日本政府として初めて発表されたものの一つです。今後3年間にわたり、教育分野の支援活動に活用され、武力紛争の影響を受けている2万人の子どもたちがこの恩恵を受ける予定。学校建設や校舎の修繕、教室260室分の資材、北部の50地域にトイレ300基を提供する他、90の保護者・教師委員会や教育当局に研修が実施されます。保健分野では、復興活動と100箇所の保健センターの装備品の提供、ワクチンの保存と配布のためのコールドチェーンの供給、その他の基本的な資材の提供のほか、妊産婦と新生児ケアのための緊急キットを100箇所のプライマリーヘルスケア(PHC)施設に支援。5歳未満の19万人以上の子どもたちと42万人の妊産婦を含む100万人以上の人々の保健サービス改善に役立てられます。また、保健師の研修、四輪駆動の救急車とバイクも支援され、照会システムの強化と、支援の届き難い地域への支援活動の強化が期待されています。 水と衛生の分野(WASH)では、新たに100箇所の新たな給水所が設置され、200箇所の既存の給水所の修繕も行われます。これにより、少なくとも15万人の飲料水へのアクセスが確保される予定。また、少なくとも50校の小学校と100箇所の保健センターに適切な衛生施設(トイレ)が設置され、衛生教育も実施されることになっており、20万人の小学生と10万5,000人の子どもと3万人の妊産婦を含む60万人の人々がこの恩恵を受けることになります。コミュニティを主導とした包括的な衛生プログラムの実施により、300の村で安全な衛生環境が整えられ、5万2,000人の5歳未満児と1万5,000人の妊産婦を含む30万人の人々が直接この恩恵を受ける見込みです。300の村に暮らす人々が自分たちのコミュニティの開発に貢献することになります。また、7つの青少年センターの設置と仲間同士で教えあう「若者HIVピア・エドゥケーター」の実施、またこうしたグループを支援するための訓練も実施予定です。 日本政府は、1960年に外交関係が樹立されてから、緊迫した武力紛争による政情不安のために一時中断された時期もありましたが、長年にわたり中央アフリカ共和国を支援してきました。 最近の人道支援においての最優先事項のひとつは、平和構築と、特に妊産婦と子どもの保健、初期教育、水と衛生の分野におけるミレニマム開発目標達成のための支援活動です。 2008年から2010年の間に、日本政府による二国間や国際機関などを通じた中央アフリカ共和国に対して提供された支援は、去年の大統領選挙および国民議会選挙の支援を含め、総額4,550万米ドルに上ります。 「日本の貢献は、最も弱い立場のコミュニティに手を差し伸べ勇気付け、ミレニアム開発目標(MDGs)達成のためにユニセフが訴えている戦略、すなわち“不公平性を減らすもの”でもあります。」「目標達成に向けて、共に活動できるのを楽しみにしています。」(シャプイサ大表) |