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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ヨルダン:パレスチナ女性の能力育成に取り組むコミュニティセンター


【2007年8月20日、ヨルダン・アカバ発】

© UNICEF Jordan/2007/Noorani
アカバ県シャラー地区のコミュニティセンターにて、ボランティアと一緒のウム・タメルさん(左)。

ウム・タメルさん(32歳)は、アカバ県のシャラー地区に住んでいます。この地域には、およそ6,000人のパレスチナ難民が暮らしています。6歳の子を持つ彼女は、以前は深刻なうつ病に苦しんでいました。しかし、社会開発のためのコミュニティセンターのボランティアが彼女の家を訪れるようになった4年前から、生活は一変しました。

「ボランティアの方が、一軒一軒の家を尋ねてまわったんです。センターがコミュニティ教室を開くけれど、センターに来てもらえますか? それとも誰かの家にみんなで集まって開くほうがよいですか?と」。タメルさんは語ります。タメルさんは、コースを受講するようになり、以来、生活が良くなっていると感じています。いくつかのクラスの中でも、とくに結婚・離婚・子どもの養育権など、家族に関する事柄について定めた法律や、育児方法を学べるクラスがとても役に立っています。

このコースでは、10代の子どもが陥りやすい危険についても教えています。それは、薬物乱用、家庭内暴力、学校の中退、喫煙などですが、これはほんの一例です。シャラー地区の青少年は、特に危険にさらされています。同地区では、貧困率や失業率が高いだけでなく、人口が過密状態のために、多くの環境的、社会的問題や保健上の問題に直面しているからです。

子どもの発達段階
© UNICEF Jordan/2007/Noorani
6000人のパレスチナ難民が暮らすシャラー地区は、高い貧困率、失業率などに苦しんでいる。

ユニセフ・ヨルダン事務所では、5年以上にわたって社会開発のためのコミュニティセンターを支援しています。コミュニティ開発プロジェクトの一環として、センターでは困難な状況に置かれた女性や子どもたちのニーズに焦点をあてています。

「今では、タメルさんはとても活動的です。彼女は、沈んだ気持ちを乗り越えて、このコースがとても重要であることを夫に納得してもらったのです」。センターでボランティアとして働くハナン・ダグハイマットさんは話しました。
タメルさんも語ります。「子どもが泣くときは、注意して子どもを見るようになりました。どうして泣いているのか考えて、熱が出たときも、そのままにしておくことは絶対にしません」。自分にとって役立ったことのひとつは、子どもが成長の各段階でどのような状態にあるべきかを学べたことだ、とタメルさんは話します。

新たに習得した知識

タメルさんの夫、アブさんは観光業で働く運転手で、仕事のために何時間も、ときには何日も家族に会うことができなくなりますが、タメルさんと同じようにコースに参加しています。「夫は、仕事に精を出すだけでなく、子どもたちのことを気にかけて、どこへ出かけるのか、どういう友だちと遊んでいるのかなど、子どもたちに話しかけて会話をすることが大切だということを学びました」、とタメルさんは付け加えました。

また一方で、タメルさんの家は週にいちど、近所の女性が集う場所になっています。センターで学んだ新しい知識をもとに、皆でさまざまな問題について話し合うのです。

タメルさんは、自分には人生の中で果たすべき役割がひとつあると言います。その夢を叶えるために、彼女はお金を借りて在宅ビジネスを始めました。タメルさんの夢、それは、子どもたちに教育を授け、大学まで行かせることなのです。

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