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ヨルダン:混乱が続くシリアを逃れた子どもたちへの支援【2012年3月8日 ヨルダン発】
2月のある寒い日のこと、混乱の続くシリアを追われ、隣国のヨルダンでの避難生活を余儀なくされている子どもたちが、お父さんやお母さん方と一緒に、ユニセフのパートナー団体の一つ「ヨルダン人間開発基金」(JOHUD)が南部のマアーンという町で運営するセンターに集まっていました。 故郷の政情不安によって住む場所を追われ、国境をまたぐ危険な“旅”を強いられたシリア人は、数千人にのぼります。今日ここに集まったのも、そうした子どもたちです。2011年3月以降、ヨルダンで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民登録を受けたシリア人は4,000人以上。この数は、今も増え続けています。 マアーンは、過去数ヵ月の間に、こうした避難を余儀なくされた人々が多く暮らす町になりました。マアーンは、シリアのホムスと、一ヶ月以上も激しい砲撃を受けているババアムルという町の郊外から5時間ほどの場所にあります。シリアで続く武力衝突は、社会インフラに大きな被害を与えるだけでなく、子どもたちの生活を大きく崩壊させました。 武力紛争の影響への対応
ユニセフは、JOHUDと協力し、極めて激しい暴力に直面し、避難生活を余儀なくされるなど厳しい立場に置かれている子どもたちに、安全で安心できる環境の中で、心理社会的な支援や遊びの機会を提供しています。 JOHUDセンターでは、訓練を受けた心のケアの専門スタッフが、子どもたちと接しながら、子どもたちの様子を常に確認。特別な心のケアや保健サービスを必要とする兆候を示している子どもたちを、それぞれの分野の専門家に照会するなどの対応をしています。これまでに、200人近くの子どもや若者、また150人の親や保護者が、このセンターの活動に参加しました。 この日の活動では、子どもたちは小さなグループに分かれて座り、訓練を受けたスタッフが見守る中、絵を描いたり、色を塗ったり、様々な創作活動を楽しみました。 また、親や保護者たちはグループセッションに参加し、利用できるサービスについて学びました。その一つが、ヨルダン政府が最近発表した、避難を余儀なくされたシリアの子どもたちを公立の学校で受け入れていることでした。こうした情報に、参加した全ての親たちは、みな大喜びでした。 子どもと家族にとって心地よい場所子どもたちにとって、このセンターは、学んだり遊んだりすることができる非常に重要な場所です。また、このセンターの活動は、子どもたちが子どもらしさを取り戻すことができる機会にもなっています。 「子どもたちは、生まれ育った家から避難を余儀なくされ、暴力を目の当たりにして、深刻な影響を受けています。」「子どもたちが心のケアや補習授業を受けられる『子どもに優しい空間』を設置することによって、子どもたちが日常の感覚を取り戻す一助になっていると思います。」ユニセフ・ヨルダン事務所のドミニク・ハイド代表はこのように話しました。 また、この“空間”は、子どもたちの家族にとっても心地良い場所になっています。 「ほっと一息つくことができるこの場所に、本当に感謝しています。」「閉ざされた壁の中で、自分の国で何が起きているのかを、常にテレビで確認しなければならない生活がどんなに大変なことだったか・・・。」 自身の家族に加え、息子の家族も含め総勢10人でここにやってきたアブ・アリさん(仮名)はこう語ります。 |