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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

シリア:毎日100万リットルの飲料水をヨルダンの難民キャンプに

【2012年10月10日 ヨルダン発】

© UNICEF Jordan/2012/Al-Masri
ヨルダンのザータリ難民キャンプで、水を汲むヨルダンの男の子。

ヨルダンのザータリ難民キャンプの中を、水飲み場やトイレ、シャワーなどに利用する水を運ぶ大型の給水トラックがゆっくりと走っています。

3基の貯水タンクの近くに設置された蛇口が付いた水場には、女性たちが集まって、衣服を洗ったり、洗いあがった服を吊るしたりしています。幼い女の子たちも、お母さん方をお手伝い。同じ貯水タンクの水をバケツに入れて、仮の住まいとなっているテントに運んでいます。灼熱の砂漠の日差しを浴びながら、シャワーを浴びている男の子たちもいます。

給水活動を拡大
© UNICEF Jordan/2012/Al-Masri
ユニセフは、ヨルダンのザータリ難民キャンプに、毎日、100万リットル以上の飲料水を運び入れている。

毎日、約100万リットルの飲料水が、一台あたり1万2,000リットルから1万9,000リットルを積載できる、最大23台の給水トラックで運ばれ、難民キャンプに暮らす約3万2,000人に届けられています。

「これは、多くの人々の命を守る水と衛生分野のニーズに応えるための非常に大規模な支援活動です」と話すのは、ユニセフ・ヨルダン事務所のドミニク・ハイド代表。「このキャンプでの暮らしを余儀なくされている人々の数は、日増しに増えています。ですから、支援活動の規模も拡大し続けている状況です」

ユニセフは、ドイツのNGO(THW)と共に、飲料水の供給だけでなく、トイレやシャワー室も設置。またゴミ処理の活動も支援しています。

給水トラックで運ばれてくる水は、難民キャンプの入り口から15キロから25キロ離れた場所にある、ラムサとマフラクという場所にある3つの井戸で汲まれてきます。

THWのムッファク・ハッザさんは、こうして難民キャンプに届けられている水は、飲料水として使っても問題ないと語ります。ACTEDは、水がキャンプに到着した時は勿論、貯水タンクに入れられる時にも、水質検査を実施しているのです。

また、こうした一連の取り組みに加え、ヨルダンの保健省と水灌漑省も、水質を定期的に検査しているとハッザさんは説明します。「問題があったら、給水トラックを引き返させます」

水質検査を終えると、全ての給水トラックが、キャンプ地内の給水タンクに水を注入。給水タンクは、90箇所のトイレとシャワー室、また20箇所の手洗い場に設置されています。

節水の努力

こうした大規模な支援活動を展開するには、乗り越えなければならない多くの課題があります。現在、そのひとつとなっているのが、節水の問題とハッザさんは言います。「キャンプでの生活を強いられている人々は、水が豊富にある地域から避難してきているのです」ヨルダンは、一人当たりの利用可能な水源量が、世界で4番目に乏しい国なのです。

8人の子どもをもつ父親のアブ・ナワラスさん(55歳)は、節水は難しいと、次のように訴えます。「砂埃がすごいんですよ。ですから、多くの水がいるんです」「どこを歩いても、砂埃まみれになってしまいます。妻は、子どもの服を1日に2回も洗っていることもあります。不潔なままで、食事なんてできますか?」

ユニセフは、ACTEDと協力して、このキャンプでの生活を強いられているシリアの人々に、節水方法を学ぶ機会も提供しています。こうした活動のおかげで、徐々に水の利用量が減りはじめています。また、水の供給をより持続可能なものにするため、ユニセフは、キャンプの中に、新たに2つの井戸の掘削を始めました。

ハッザさんは、難民キャンプの状況に不満を持つ住民たちの抗議活動で、道路が封鎖され、給水活動ができなくなる場合があると話します。難民キャンプまでの道は一つしかなく、こうした状況が、給水活動を制限してしまうこともあるのです。こうした状況を受け、現在、ヨルダン政府は、2本目の道路の設置を許可。近日中に完成の予定です。

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