|
|
巨大な性産業に巻き込まれる子どもたち
|
© UNICEF Kenya/2006/ Rohio |
【2006年12月19日 ニューヨーク発】
12月19日(現地時間)、ケニアの首都ナイロビで、ケニアにおけるセックス・ツーリズムの現状に関する最新レポートが発表され、ケニアの沿岸地域に住む10代の子どもの約30%が、現金と引き換えに性交渉の相手を強要されているという事実が明らかになりました。
この「ケニア沿岸地域におけるセックス・ツーリズムと子どもの性的搾取の被害範囲と影響に関するレポート」では、沿岸地域の都市マリンディ、モンバサ、キリフィ、ディアニに住む1万から1万5千人の女の子たちが巨大な性産業に巻き込まれていると報告されています。さらに2千から3千人もの女の子が、一年中休む暇も無く性産業に従事させられ、その半数は12〜13歳の頃から働かされています。
ムーディ・アウォリ副大統領は、ケニアでの子どもに対する性的搾取の被害が「恐ろしいほど増え続けている」ことに言及。また、ヘイモ・ラッコネン ユニセフ・ケニア事務所代表は次のように述べました。「性的搾取の被害を根絶するためには、まず子どもを性の対象とする需要を削減すること、そして子どもを買春した旅行者や地元住民を処罰すること、この2つの課題に同時に取り組む必要があります」
ラッコネン氏はまた、性的搾取の問題に取り組むときには、子どもを罪に問わないことが重要であることを強調しています。「性的搾取の被害を受けた子どもたちは犠牲者なのです。子どもたちは虐待を受け続けているのですから」
レポートでは、ケニアで性的搾取の犯罪が横行する原因の1つとして、性産業に従事もしくはその近くに暮らす人びとの多くがこの犯罪を黙認していることを挙げています。バーの従業員、ウエイター、さらに子どもの親を含めた75%もの人びとが、子どもたちがお金を得るために性交渉の相手をすることを黙認し、その上、子どもたちの家族までもが、そのような手段で子どもが食糧を調達することを好都合であるとさえ考えているのです。
ユニセフは旅行・観光業者と協力して「子ども買春防止のための旅行・観光業界行動倫理規範(コードプロジェクト)」を推進し、ホテルの従業員や利用客に対して啓蒙教育活動を行っています。「私たちは子どもの性的搾取の問題に積極的に取り組んでいます」ケニアのホテル支配人および経営者協会の沿岸地域支部長であるモハメッド・ヘルシ氏は述べています。
この調査結果は、子どもの虐待防止のための国連キャンペーンの一環として発表されました。このキャンペーンは、2006年10月の国連事務総長による「子どもに対する暴力 調査報告書」の発表にともない始まったものです。
ラッコネン氏は、「子どもに対する性的搾取の問題はとても難しく、解決にはかなりの時間を要するとは思いますが、希望はあります。なぜなら、他の国でもこの問題の解決に向けて積極的に取り組んでいるからです。」
「あらゆる形態の暴力、特に子どもに対する性的な暴力は決して許されるべきではありません。性的虐待という恐ろしい行為が子どもたちをこれ以上傷つける前に、今こそ子どもたちを守るため行動を起こすべきなのです」