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キルギス:「子どもに優しい空間」を設置【2010年7月13日 キルギス発】
キルギス南部の民族衝突からおよそ一ヵ月が経過し、オシでは、人々が普段の生活を取り戻し始めている様子を少しずつ目にするようになりました。通りは、人や車で溢れています。食べ物を買いに市場へ急ぐ人や、親戚の家を訪ねたり、全てを失った人々に、毛布や衣服を分け合ったりする人々もいます。 しかしながら、ひとつ非常に重要な要素が見当たりません。それは、子どもたちです。多くの子どもたちが、親と離れて避難させられました。農村部の村に暮らす親戚のところに預けられた子どもたちもいます。まだ、ほんの数世帯の家族しか、子どもたちを連れ戻していないのです。 ユニセフが現在実施している調査の過程で、既に、多くの問題が明らかになっています。民族の違いにかかわらず、子どもと女性たちが置かれている困難な状況が明らかになりました。子どもと女性は、6月中旬に勃発したこの衝突で最も厳しい立場に立たされました。その回復までの道のりは、まだまだ長くかかるものと見られています。こうした状況の中、ユニセフは、キルギスの首都ビシュケクから600キロの場所に位置するオシに、人道支援活動の拠点を設置しました。 ユニセフが、ここで最初に取り組んだことのひとつは、子どもたちが安心して遊んだり、絵を描いたり、本を読んだりできるように、子どもたちに心理社会的な支援を提供することです。 適応できない子どもたち
フルカト地区出身でキルギス民族のグルナラ・コズィバエバさんは、6人の子どもを連れて自宅に戻ってきたばかりです。コズィバエバさんの6人の子どもたちは、この場所の状況に適応しきれていません。子どもたちは、鶏に餌を与えたり、支援されたばかりのテントのすぐ近くで遊んだりするほかは、いつもコズィバエバさんにくっついて一日中家で過ごしています。 「子どもたちを、どうやって学校に通わせたら良いのか分かりません。子どもたちはいつもびくびくしていて、家族と一緒に庭で遊んでいる時しか安心できないようです。」コズィバエバさんはこのように話しました。 チェリョムシュキ出身でキルギス民族のオシの住民、ミッシリョ・イスマノバさんは、今、他の場所で暮らしている3歳の娘と一緒に暮らそうと考えています。イスマノバさんは、まだ小さな女の子が両親と離れて暮らしていることはあまり良くないと思っていますが、この地域に子どもがいないことも心配の種の一つです。 「私たちは今、こないだの混乱で破壊されずに済んだ家の中の小さなスペースで暮らしています。娘をここに呼び戻して一緒に生活することはできますが、このような小さなスペースしかないこの家の中に、常に閉じこもっていることは難しいことだと思います。」と、イスマノバさんは話します。「幼稚園はまだ再開していません。近隣のほとんどの人々は、まだ子どもたちを親戚のところに預けたままです。」 子どもたちのためのセンター
コズィバエバさん一家とイスマノバさん一家は、仮設住宅に暮らしながら、将来について考え始めています。彼らは、ユニセフが、パートナーと共に、子どもたちが一緒に遊んだり、カウンセリングを受けたりできる「安心できる場所」(センター)を開設してくれたことを歓迎していると言います。このセンターが出来たことは、コミュニティの人々が子どもたちを呼び戻し、安定した生活を取り戻す手助けとなってくれるはずです。 文部科学省は、学校にこのようなセンターを20施設設置することに同意しました。また、オシの難民キャンプや町の中にも20箇所設置するべく準備されています。ユニセフは、こうした子どもたちのための安全な空間の設置に主導的役割を果たし、教員や心理学者への研修を実施している他、プレイルームを整えたり、子どもたちの発達を促す特別な玩具を提供しています。 「子どもたちが日常生活を取り戻すためにも、こうした「安心できる空間」が必要です。」ユニセフ・キルギス事務所のサムフェ・フハフングパはこう話します。「ここは、子どもたちが遊んだり、絵を描いたり、歌ったり、踊ったり、子どもたち同士で遊んだりするための場所です。コミュニティが、恐れを克服し、日常生活を取り戻すために、こうした場所が必要なのです。」 |