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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

キルギス:被災者の生活を立て直す家庭訪問

【2010年7月23日 キルギス発】

© UNICEF/NYHQ2010-1352/Estey
キルギス南部オシのクルカト地区にある焼失した家の前に立つテミルベクちゃん(11歳)と妹のアクベルメクちゃん(6歳)。

壁に囲まれたコズィバエバさんの自宅は、その外見からは、比較的被害を受けていないように見えました。隣家のほとんどが倒壊している中、コズィバエバさんは、自分の家は被害を被っていないんじゃないかと期待しました。しかし、壁の中には、爆破された自家用車が。そして、その後ろには、廃墟と化した家がありました。

その中庭にひとつだけある避難テントで、コズィバエバさん一家と親族は、肩を寄せ合い、生活を立て直そうと奮闘しています。

家長のシャアルカン・コズィバエバさん(83歳)、6人いる子どもたちの一部を連れてきた義理の娘のグルナラさんを含めて、3世代のコズィバエバさん一家の元を、ユニセフの職員とキルギス政府の社会保護担当官が訪れました。この家庭訪問は、最近起きた民族衝突の影響を受けた人々の状況を把握し、より多くの社会サービスを届けるための活動の一環として行われています。

調査員は中庭の木陰に腰を下ろすと、ペンとノートを取り出し、家族が必要としていることを尋ね始めました。

最も大きな被害を受けた人々への支援
© UNICEF/NYHQ2010-1352/Estey
焼失した家の外に立てられたテントに座るテミルベクちゃん。

ユニセフと地元のNGOは、6月中旬にこの地域の人々を分断した恐ろしい武力衝突が起きて以来、コズィバエバさん一家を含め多くの人々が、以前のように社会的な支援を受けるために必要な登録をしに政府関係機関を訪れる際、危険を冒さなければならなくなってしまったことを知りました。さらに放火や略奪の結果、自宅が崩壊し、そうしたサービスを受けるための登録に必要な書類を全て失った人々がいることも確認しています。

この家庭訪問の目的は、最も支援を必要としている人々に手を差し伸べることです。

「この緊急事態が勃発してから、社会保護省に来る人が徐々に増えています。」調査員のサギュン・マムブイェトバさんはこのように話します。「ですから、こうした人々も、社会サービスを利用できるようにするための手続きを早めるべく検討しています。」

社会保護省のブルル・シャルシェノバ大臣も、最近被災地を訪れました。「被災者を支援するためのシステムを簡素化し、支援のスピードアップを図るため、国庫給付金の支給に関する法律の見直しを始めています。」

オシ全域で必要な緊急支援
© UNICEF/NYHQ2010-1345/Estey
オシにあるウズベク民族が暮らす地区で、崩壊した家の中で泣いているケースワーカーのサヒバさん。

この混乱の影響を受けた数千世帯の人々は、日常生活を奪われ、家が破壊されました。キルギス南部のオシや近隣のコミュニティ全域で、緊急支援が求められています。この地域で、この混乱を完全に逃れることができた家族はほとんどいないものと見られています。

サヒバさんもこうした影響を受けた一人です。もともとオシ社会保護省の経験豊かなケースワーカーをしていたサヒバさんですから、本来なら、各世帯の子どもたちの人数や収入、資産などを調べる今回の調査活動に参加していたはずです。しかし、サヒバさんの自宅も、破壊され瓦礫となってしまいました。

この大きさと、残された家具などから判断すると、サヒバさんの家は、大きく住み心地の良い家だったことが想像できます。しかし、わずか一夜の暴動で、一生の苦難が降り注がれた場所のようになってしまいました。暴動後の自宅を目にしたサヒバさんは、視察中ずっと涙が止まらず、仲間から慰められていました。

「サビバさんも犠牲者なのです。」ユニセフのグルサナ・トゥルスベコバ社会政策担当官はこう話します。「彼女も支援が必要な家族として認定されるかどうか、きちんと評価されるべきです。」

教育への懸念

ユニセフは地元のパートナーと共に、再建・復興活動はもちろん、その他の緊急課題についても様々なレベルで協力して活動しています。

例えば、自宅を離れたり、社会サービスを受けるために政府関係機関に赴くことを恐れている人々は、子どもたちを学校に通わせることも躊躇することが予想されます。9月1日に始まる新学期を控え、大きな課題が残されています。

「学校が再開され、日常の生活が取り戻せたら、子どもたちを学校に行かせるつもりです。」グルナラ・コズィバエバさんは、中庭で遊ぶ子どもたちを見ながらこう話します。「でも、それは遠い道のりです。ですから、もちろんとても心配しています。」

世界各地の自然災害や紛争の現場での経験から、ユニセフは、子どもたちに日常の感覚を取り戻してもらうためにも、子どもたちを学校に戻すための支援が非常に重要であると考えています。キルギスでも、新学期の日に全ての子どもたちが学校に登校できるよう支援を行う予定です。コミュニティでの社会サービスの拡大が、人々に安心感をもたらし、その結果、子どもたちが学校に通えるようになることを目指しています。

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