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キルギス:「劇的な変化」を「前向きな変化」に変える若者たち【2012年10月8日 キルギス発】 エルキン・ジャパシェブさんは、10代前半の頃、村で荒れた生活を送っていたと話します。 でも、この数年の間に、彼の人生に変化が起こりました。エスキンさんは、今、中央アジア・キルギスのこの小さな村の若者の間で、リーダー的な存在。学齢期の子どもや若者の‘憧れの的’なのです。 転換期のコミュニティ
ジャララバード州スザクに位置するカドゥ村。世界最大規模の胡桃(くるみ)自然林が広がるこの地域では、子どもや若者の学校の退学率や失業率の高さが問題になっています。 エスキンさんが、時間を掛けて自身を変えてきたように、彼が住むコミュニティも、今、痛みを伴いながら変化しているのです。この地域では、一時、民族間の緊張関係が高まり、2010年には、暴力をともなう衝突に発展してしまいました。 この事件後、子どもたちや若者が、教育や経済的な機会を見つけることが、以前より難しくなってしまったのです。 若者に参加の機会をつくるセンター2011年の秋、スザクに青少年センターがオープンしました。このセンターは、ユニセフが、キルギスの青年労働雇用省や地元のグループと協力して、2011年から2012年にかけて、国内19箇所に設置したセンターのひとつです。 こうしたセンターのほとんどは、住民が不安や憎しみ、不信感を抱えていた、エルキンさんが暮らしている村のような場所に設置されました。ユニセフは、若者が創造的に過ごせる空間を確保し、異なる民族の人々が協力して様々な活動ができるよう、技術的な支援を行っています。センターには、基礎的なコンピューター技術や英語を学ぶクラスに加え、失業やインクルージョン(誰もが受け入れられる社会)、ボランティア、平和構築、紛争の予防、市民参加といった緊急の問題について、住民が議論できる場も設けられています。 こうしたセンターは、若者の能力を具現化し、チームワークを育て、異なるコミュニティの人々が集まれる、そして、若者によりよく生きる術を提供する場として知られるようになりました。 エルキンさんの旅エルキンさんは、このセンターでコンピューターのクラスを受講。以降、センターの活動に活発に参加するようになりました。センターの活動に参加する度に多くの人々に出会い、そこで、交渉技術や相手を説得する技術を身につけ、多くの可能性や機会も見出しました。 「『自分を変えることから始めよう』というセンターのスローガンが、多くの青少年の人生に具体的な変化を生んでいます。村の学齢期の子どもたちや若者たちも、このセンターの活動に誘い込んでいます」(エルキンさん) “生まれ変わった”エルキンさんが、活発に取り組むようになった活動のひとつが、この地域の上水道の改善でした。 水を求めてカドゥ村では、昔から、安全な飲料水を手に入れることが難しい状況にありました。 少なくともエルキンさんのような若者たちが覚えている限りでは、この村の住人は、昔から、胡桃の森の傍に出ている湧き水をバケツに汲み、ロバで運んで利用してきました。多くの時間を要する仕事で、たいていは、子どもと女性の役割となっていました。 エルキンさんは、この問題に取り組み始めました。「改善を求める私の訴えに対し、地元当局からの回答はありませんでした」「私が考えた計画では、費用が高過ぎて、実行できなかったのです。皆、これが何世代にもわたって受け継がれている方法だと言い続けました。誰も変化なんて求めていないと言われたのです」エルキンさんはこう語ります。 しかし、エルキンさんはあきらめませんでした。 彼は、ある国会議員と面会。支援を求める多くの請願書を渡しました。そしてついに、山と村を繋ぐ1,360メートルの水道管を設置するための予算を取り付けたのです。 さらに、エルキンさんは、他の村の人々を説得。村人からも資金を集めました。こうして、集まった資金は、総額8万ソム(1,700米ドル)に上りました。また、この活動に賛同した地元の人が、10トンの貯水タンクと浄水フィルターを寄付してくれました。 若者が主導カドゥ村の若者たちのために、情報センターを開設することが、エルキンさんが次ぎに取り組もうとしている課題です。村の人々は、今、コピーをとるために、50キロ離れたスザクまで行かなければなりません。村人は、タクシーの運転手に、1部か2部の書類を渡し、コピーを頼んでいるため、高額な費用がかかっているのです。情報センターが開設されれば、印刷やコピーだけでなく、若者たちに、コンピューターや関連技術の研修の機会も提供することができるようになります。 また、道に夜間照明を設置することも計画されています。 ユニセフは、現在、こうした若者たちを支援するための追加の資金を確保すべく努力しています。しかし、若者たちは、資金の到着を待たずに、既に行動を始めています。 「少額の利用料を徴収したり、地元当局と協力したりして、持続可能な形でセンターを運営する計画を既に実行しているセンターもあります。活動の基盤は既にそこにあります。センターの活動を継続させる機会は、そこにあるのです」ユニセフ・キルギス事務所のジョナサン・ビーチ代表はこう語ります。 スザク青少年センターのコーディネーター、ジェンギシュ・カニメトブさんは、次のように語ります。「若者の本来の力が明らかになりつつあります。若者の生命力が良い方向で使われるようにサポートすること。それがこのセンターの役割なのです」 |