今も続く「戦争」−不発弾の脅威
<ラオス>
インドシナ戦争が終わり、ラオスに平和な日々が訪れて既に20年以上の月日が流れました。しかしラオスでは現在もなお、戦争の被害者が後を絶ちません。15歳の少年タオ・ミーも、そうした被害者の一人です。タオがその左腕と両視力を失ったのは、むろん戦闘のせいではありません。家の養魚池をさらっていた最中、自分が生まれるよりもずっと昔に投下され、戦後もそのままになっていた爆弾が爆発したのです。
1964年から73年の間に、ラオスに投下された爆弾は200万トン以上といわれています。これは換算すると、8分ごとに約2トンの爆弾を9年間投下しつづけたのに相当する量になります。恐ろしいことに、そのうちの約3割が爆発しないまま、農地や沿道、村落に放置されています。
放置されたままの不発弾の多くは、年月とともに地面の下や植物の茂みなどにますます深く隠されていきます。また時がたつにつれて爆弾の外側も劣化し、軽い衝撃によって容易に爆発するようになります。不発弾の問題は、時間の経過とともに深刻化する一方なのです。
また不発弾による犠牲者の4割以上が子どもです。遊び道具に事欠かない日本の子どもには想像もできないことですが、緑や黄など鮮やかに彩られた爆弾は、ラオスの子どもの目には格好のおもちゃに映ってしまうのです。ある親はこう言います。「子どもに『触るな』と言っても無理ですよ。あたり一帯どこにでも落ちているんですから」
ラオスの人々にとって、日々の生活は今なお死と隣り合わせです。20年以上も前に終結したはずの戦争は、まだ終わっていないのです。
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