<2003年8月12日信濃毎日新聞掲載>
続く紛争と10代の母親たち
<リベリア>
西アフリカのリベリアでは、10年以上続いている紛争がここ数週間で激化し、百万人もの避難民がでています。食糧など緊急支援が当面の課題となっていますが、激しい戦闘のため人道的介入が困難で、毎日多くの子どもたちが栄養不良などで命を落としています。
リベリアでは、政府と、二つの反政府グループによる紛争と和平交渉を長く繰り返してきました。過去の戦争犯罪で今後国連に訴追されるとみられるチャールズ・テーラー大統領は、すでに今月中旬の辞任とその後の国外退去の意志を表明しています。しかし、平和維持部隊がリベリア入りした後に退去するとしており、退去時期はまだわかりません。
国連安全保障理事会では、多国籍軍による平和維持部隊の派遣が決議されました。それを受けて4日、国際社会からの支援を条件としていたナイジェリアの第一陣がリベリア入りし、人道支援のための第一歩を踏み出しています。ナイジェリアに本部をもつリベリア近隣15カ国からなる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が事態の改善に主要な役割を果たしていますが、国際社会からの人道支援も期待されています。
ユニセフは、この社会混乱が長引くリベリアで支援を続け、支援プログラムのひとつとして母親向けに幼児ケア・クラスを避難民キャンプで開いてきました。リベリアでは18歳未満の10代の女子のうち、4人に1人は子どもがいるとされています。しかし、紛争のなかで育った母親たちは、避難民キャンプで育ち、教育をほとんど受けていないため、母親たちは子どもの育て方を知る人は多くありません。
そこでユニセフは、幼児ケアのクラスを開き、子どもが泣いた時の対処の仕方といった基礎的なことや、HIV/エイズ予防などについて教えています。クラスのなかのひとり、5歳、2歳と5カ月の3児の母である19歳のテネさんは、「私は子どもたちをとても愛しており、先生は彼らをよりよく育てられるように教えてくれます。」と話します。
家族で紛争から逃げているときに夫を失い、3人の子どもを1人でたくましく育てるテネさんのような若母親はめずらしくありません。彼女たちはクラスに参加することによって、独りで抱えやすい子育ての悩みをお互いに分かち合い、より健康な子どもを育てるよう努力しています。
こうした避難民を多く発生させるリベリアの紛争はいつ終戦を迎えるのでしょう。紛争が終わり、人々が自分の村や家に帰り、平和のありがたさに感謝しつつ、再出発する—。その時がリベリアに早く訪れるよう、今、私たち国際社会からの協力が求められています。
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