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マダガスカル:深刻な栄養不良との戦い【2012年2月8日 マダガスカル発】
重度の急性栄養不良でアムボサリの病院に急送されたノミーちゃん(4歳)は、合併症も引き起こし、非常に危険な状態でした。 しかし、ノミーちゃんは幸運でした。 ノミーちゃんの村で子どもたちの保健や栄養状態の向上のために活動している人々が、ノミーちゃんの容態にいち早く気がついたのです。ノミーちゃんの顔や足はむくんでいましたが、これは、緊急に専門の治療が必要な重度の栄養不良のサインでもありました。母親のセレスティンさんは、近くの保健センターにノミーちゃんを連れて行くように言われ、状態を見たそのセンターの医療スタッフが、もっと大きな病院を紹介してくれました。 外来治療この病院に入院している間、ノミーちゃんの状態は注意深く監視されます。体重が標準まで戻れば退院し、後は、自宅ですぐに食べることができる栄養補助食品(RUTF)等を使った治療を続けながら、定期的に近所の保健センターに通うだけで良くなります。 アンドレイちゃん(1歳4ヵ月)は、既にこうした外来治療を受けている子の一人です。
アムボサリから50キロほど離れたアンキリキラ村に暮らすアンドレイちゃんが、栄養不良治療のために、保健センターの外来診療を訪れるのは、これで5回目です。 下痢が続き、健康状態が悪化していたアンドレイちゃんでしたが、保健センターのスタッフは、合併症を伴わない重度の急性栄養不良と診断。RUTFを利用し、外来治療で対応できると判断しました。 外来治療プログラムでは、栄養不良の予防のために、最も効果的に子どもたちに栄養を摂取させる方法をお母さん方に助言しています。しかし、干ばつに苦しむマダガスカル南部の人々にとって、こうした助言を活かすことは容易なことではありません。 「この地域の5歳未満の子どもたちが重度の急性栄養不良に陥る主な理由は、貧困です。」「また、年中厳しい気候にさらされ、雨不足や干ばつに見舞われることもあります。この地域の人々は、家族に十分な食事を提供できないのです。」アンキリキラ村で活動するマシー・ジュリエットさんは、こう語りました。 子どもの栄養不良を減らすために5歳未満児の栄養不良の問題は、マダガスカルが直面している課題の一つです。発育阻害(Stunting)の子どもも多く、その数は、世界で下から6番目。 「マダガスカルでは、下痢性疾患や急性呼吸器感染症、マラリアといった予防可能な病気で、5歳の誕生日を迎えられずに、毎年3万8,000人以上の子どもたちが命を落としています。これは、毎日104人の子どもが亡くなっていることになります。」ユニセフ・マダガスカル事務所のブルノ・マエス代表はこう話しました。 現在ユニセフは、マダガスカル全土で栄養支援活動を展開していますが、その活動の大部分は、状況が深刻な、国の南部で集中して実施しています。この成果は、5歳未満の子どもたちの死亡率と疾患率の改善に現れています。2010年、深刻な栄養不良状態にあった7,000人以上の子どもたちが、ユニセフの支援で提供されている治療を受けました。 ユニセフは、また、栄養不良状態の子どもたちを発見し、保健センターや病院での治療に結び付ける活動を担う村の人々の研修・育成も支援。マダガスカルで年2回実施される「母子健康週間」キャンペーンも支援し、このキャンペーン期間中は、5歳未満の子どもたちと妊婦や授乳中の女性たちに微量栄養素も配布しています。
ユニセフは、間もなく、乳幼児を対象にした栄養プログラムの実施も支援する予定です。これは、最も厳しい立場に置かれている子どもたちの栄養不良を防ぐために、家族の健康や栄養状態を改善するための知識や技術をお父さんやお母さん方に伝えるプログラムです。ユニセフの研修を受けた人々が、子どもや女性の健康や栄養を維持向上するためのヒントが書かれた「カウンセリングカード」を使って、そうした知識や技術の普及を図ります。また、地元や全国ネットのラジオ番組を通じた啓発プログラムも並行して展開される予定です。 こうした一連の活動は、社会的に最も厳しい立場に置かれている子どもたちに、特別な配慮をもって展開されます。 「マダガスカル南部で展開しているユニセフの活動を強化しなければなりません。マダガスカルは、(世界的にも)いまだに教育や飲料水、保健ケア・サービスの提供が最も厳しい国のひとつなのです。」(マエス代表) |