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公益財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち/ストーリーを読む

マリの紛争からモーリタニアに逃れた数千人の避難民に対する支援

【2013年2月5日 マリ発】

激化するマリ北部での武力紛争。紛争に巻き込まれた何千人もの人々は、生きるために奮闘し、この苦難を逃れるべくより安全な地域への避難を強いられています。どこにも避難できずに取り残されたままの多い状態です。

アリアさんをはじめ、紛争地区から避難した人々にとって、それは当てのない、恐怖の旅路でした。3人の幼い子どもたちとモーリタニアのファサラを目指し、マリのトンブクトゥを出発してから1週間が経過。大きなお腹を抱えたアリアさんの陣痛が始まり、出産はもう間近に迫っていました。砂漠地帯に最初に現れたファサラの住居の中で、アリアさんは4人目の子を出産しました。

近隣諸国への避難

© UNICEF Mauritania/2013/Isselmou
モーリタニアのムベラ難民キャンプで授業を受ける難民の子どもたち。ユニセフは、増加する難民キャンプの子どもたちのニーズに対応するために活動している。

2012年初頭、サヘル地域は栄養危機の問題に立ち向かっていました。その最中、マリ北部で武力紛争が勃発。3月には、その紛争は、キダル、ガオ、トンブクトゥの北部の3地域に拡がりました。しかし、同地域を制圧した世俗的な反政府勢力「アザワド解放民族運動(MNLA)」がイスラム武装勢力に駆逐されてしまう2012年末までは、状況は比較的落ち着いていました。

昨年12月20日、国連安全保障理事会は、人道支援活動の安全を確保し、避難を余儀なくされた人々が帰国できるよう、アフリカ主導の国際マリ支援ミッション(AFISMA)が、マリ当局を軍事的に支援することを認めました。その後まもなく、反乱軍がまた別の攻撃を開始し、1月10日には、コナを占拠。その結果、マリ政府はフランスの軍事援助を要請したのです。

数千人がこの武力衝突により避難を余儀なくされました。ユニセフは、国連高等弁務官事務所(UNHCR)やその他のパートナー団体と共に、国境を越える避難を強いられた難民を支援するために活動しています。その難民の、大半は子どもと女性です。

モーリタリアでの安全

© UNICEF Mauritania/2013/Isselmou
モーリタニアのファサラでアリアさん一家と話すユニセフのルシア・エルミ代表とUNHCRのナダ・メルヘブ代表。アリアさんは、マリのトンブクトゥからモーリタニアのファサラまでの長旅の最後に、4人目の子どもを出産した。

国連高等弁務官事務所(UNHCR)によると、モーリタニアのムベラ難民キャンプには、新たに避難を余儀なくされた1万人以上の難民を含む6万4805人が避難しています。子どもたちは、食料、保護、栄養、教育、保健ケア、水と衛生の分野を含む支援が必要な状況です。

「マリ北部での軍事作戦の後に、難民の子どもたちとこうした子どもたちを受け入れている人々が求めているニーズの高まりに対応するため、ユニセフは支援を強化し、拡大しています」ユニセフ・モーリタニア事務所のルシア・エルミ代表はこう話します。

アリアさん一家は、ファサラに辿り着つくと、健康状態の確認とはしかの予防接種を受けるため、保健センターへ連れて行かれました。この保健センターは、UNHCRや他の人道支援団体の支援により保健・社会省が設立したものですが、ユニセフがワクチンや必須支援物資を提供しています。

その後、アリアさん一家は、難民登録センターに移動。トンブクトゥからの長旅を経て、初めての休息を味わいました。そこから、ムベラ難民キャンプに移動し、そこで提供されている施設やサービスを享受することができました。その1年後、アリアさんの息子のハビビちゃんは、重度の急性不良から回復。力強く立つ様子を見せてくれました。

ムベラ難民キャンプでは、栄養、水と衛生分野の支援と共に、子どもたちが日常の感覚を取り戻す一助として、教育と子どもに優しい空間が提供されています。

驚くべき回復

「1年前に始めてこのキャンプ地を訪れました。来るたびに、逆境に立ち向かっている人々の驚くべき回復力に深く感動しています。子どもたちは、砂や石を置いてゴールを作り、サッカーに興じています。女の子は、学校が終わってから、仮住まいとなっているテントに戻って、本やペンを持って嬉しそうに出かけていきました」エルミ代表はこう話します。

ユニセフは、パートナー団体と共に、新たな難民流入への対応と、難民とその難民を受け入れているコミュニティのニーズを確保するべく全力を尽くしていますが、その一方で、支援活動を阻む大きな課題にさらされています。モーリタニアの子どもの数が急増し、増加の一途をたどる教育やその他のサービスに関する需要に対応するため、さらなる支援が求められています。

マリの情勢はいまだ不透明で、避難を強いられた人々がマリに帰国を果たすまでには、まだ時間がかかる見込みです。ユニセフは、UNHCR、マリ政府、その他のパートナー団体と連携しながら、ニーズがある限り、サービスを提供し続ける準備を整えていかなければなりません。緊急事態、民族紛争、政治的緊張の高まりといった何重もの苦難の中にあるマリの子どもたちの運命は、子どもたちの生存を守ろうとする国際社会の強い支援姿勢が存続するかどうかにかかっています。

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