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公益財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち/ストーリーを読む

マリ:不発弾など残された兵器で死傷した3分の2が子どもたち

【2013年3月5日 マリ/ジュネーブ発】

© Laurent Duvillier/UNICEFMali/2013

ユニセフは、マリ中部と北部のコミュニティが、武力紛争で残存した地雷や不発弾の高い脅威にさらされていることに警鐘を鳴らしています。2012年4月から、爆発性戦争残存物(ERW)により、60人が死傷したと伝えられています*。このうち、3分の2は子どもたちです。この脅威は、人々が最も激しい紛争地域に帰還しはじめれば、さらに高まる見込みです。

昨年12月、ユニセフは、少なくとも10万人の子どもとその家族が、マリ北部に残存している不発弾の脅威にさらされていると推定。この推定値は、1月からの空爆や地上戦を含む軍事介入以前の値です。また、紛争の影響を受けているマリ中部・北部の約20万人の子どもが、爆発性戦争残存物(ERW)のために、死傷する危険に脅かされているものと見られています。

「僕たちは、うちの庭で、平凡な見掛けの装置を使って遊んでいました。何も危険はないと思っていたのです。僕が、それを石の上に投げたら爆発してしまったのです」不発弾により左手の一つの指を失ったモプティ出身のアマドウさん(19歳)は、こう話します。「気がついたら、血があちこちに飛び散っていて、4歳と16歳の弟が怪我をしていました。姪は亡くなりました。まだ生後1歳半でした。とても悲しかったですし、罪悪感にさいなまれています」

「激しい戦闘が行われたマリ中部と北部の全てのコミュニティは、危険な状況に置かれています」「爆発は、子どもの通学途中でも、女性が市場に買い物に出かける時でも、いつでもどこでも起こり得ることです。現場のチームは、戦争で使用され真っ黒になった車両や放置されたたくさんの不発弾があると報告しています」。ユニセフ・マリ事務所のフランソワーズ・アッカーマン代表は、このように述べました。

「周囲に不発弾があると知っていたら、母親は子どもを連れて保健センターに行くことができません。校庭にたくさんの不発弾あると知っていたら、先生は学校に戻ってこないかもしれません」(アッカーマン代表)

© UNICEFMali/2013

子どもたちをはじめとする紛争の影響を受けている人々を不発弾の脅威から守るため、ユニセフの支援を受けているパートナー団体は、過去5ヵ月間以上にわたり、学校や市場、広場でイベントを開催。推定2万7,000人に啓発活動を実施しました。

「いつもおとなと一緒にいるわけではありません」こう話すのは、イベントに参加した13歳のアディディアトウさんです。「子どもが何も知らなかったら、おもちゃのように見える手榴弾や不発弾を拾ってしまうかもしれません。それが危険だなんて分からないかもしれません。僕たち子どもたちが、こうした情報共有の場に参加しないと、大変なことになるんです」

全国放送や地方向けのラジオ番組で、命を守るためのメッセージが5つの言語で訴えられています。また、ユニセフは、マリの芸術家の協力を得て、啓発のためのポスターや資材作りも支援しています。

国連地雷対策支援信託基金(UNMAS)の行った予備調査によると、空爆や地上戦による負の遺産である砲弾や迫撃砲、ロケット弾、手榴弾、銃弾、空爆弾などの不発弾や遺棄化学兵器を含む大量の爆発性戦争残存物(ERW)があると指摘されています。ERWの危険が最も懸念されているのは、ディアバリー、ドゥエンツァ、コンナ、ガオといった特に激しい戦闘が続いた地域です。

「マリが地雷や不発弾の脅威にさらされていることは明らかです」「国連機関は、不発弾処理部隊の迅速な任務の遂行によって、全ての人々にとっての安全なアクセスを確保する義務があります。特に、マリの人々のニーズに対応することが重要です。この目的を達成するための始めの一歩として、UNMASは、マリ中部のコンナに、早急に支援チームを配置する予定です」UNMASのガレス・エドウィン・フランシス オペレーション担当官はこう語りました。

2013年、ユニセフはパートナー団体と共に、紛争地域の約40万人を対象に、特に北部での地雷教育活動やラジオでの啓発キャンペーンを拡大する予定です。

*7人(子ども5名大人2名)が死亡。53名(子ども38名、おとな15名)が負傷。

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