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<2003年5月21日掲載> やった!これで学校が続けられる!
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マニカ州タンバラ地区/12歳の孤児、チカ・ジョアンはユニセフから贈られた通学カバンを誇らしげに持っています。(C) UNICEF Mozambique/RuthAyisi/2003 |
「子どもたちは教材を買うことができずに学校をやめていたんです」と語るのは、教師のひとり、マリア・テレサ・サグアーテです。「チカが通っているカサド小学校の331人の生徒は、ほとんど全員キットをもらっています。少ししたら追加分が届きます」と校長のベルナード・ジングイザイが言います。
各学校にはクラス用キットも配られました。この中には文具、地図、基本的なスポーツ用具(バレーボールのネットやサッカーボール)が入っています。
「このキットにはずいぶん助かっています」とマリア・テレサ。「やる気が出ました。前は、自分のお金を出して、最低限必要な教材を調達していましたが、決して楽ではありませんでした」教師の平均給与は月に150万メティカル(13,590円)。学校の新学期が始まって1カ月。今のところ中途退学者はいない、と校長は言います。でも、まだ始まったばかりですから、この先どうなるかは分かりません。
「教材セットは、女の子たちの就学率を高めるのに役立っていますが、人道危機にさらされている子どもたちの心理社会的な支援にも役立っています」と語るのは、クーパー・ドーソン、ユニセフの教育担当チーフです。「このプログラムは子どもたちが学校を辞めないようにする目的を持っているのですが、ほかにも、学習に必要なものを最低限提供し、小学校教育の効果を高めようという二次的効果も狙っているのです」
質の高い教育をモザンビークで構築していくのは難しいことです。何しろ、モザンビークは世界でも貧しい国の一つなのですから。学校に行っていない子どもは半数を占め、チカのように学校に行っていても、シフト制の授業で4時間程度の授業を受けるのがやっとなのです。ほとんどの子どもは資格も研修も受けていない先生に教わり、教室は満杯状態(1人の先生に60人の生徒という具合です)。衛生環境も決して良くありません。
家庭の環境も貧しいので(現在の人道危機を抜きにしても人口の70%が絶対的貧困の中で暮らしています)、学校に通い続けること自体が大変な努力を要します。
チカの授業は午後に始まりますが、チカは朝日が昇る前から起き出し、家の雑用を全部すませてから学校に来ます。学校までは7キロ。おなかを空かせたまま、裸足で2時間。途中で野生の果物を摘んで食べますが、飲み水はありません。
長時間の徒歩通学と空腹状態で、チカやそのほかの生徒たちは、健康面でも危機にさらされています。学校には331人の生徒に対してわずか3つのトイレしかありません。2つは男の子用、女の子には1つしかありません。飲み水を汲む井戸は、とても安全とは言えません。「ほかにないから、この水を飲むしかないのです」と校長先生。
学校を終え、家に帰ったときに、チカはその日初めての食事をします。おわん1杯のメイズです。これは年老いた祖母が、近所の家で働いて、やっとのことで手に入れた食事なのです。
2003年4月30日
マニカ州タンバラ地区、モザンビーク(ユニセフ)