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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

支援「すべての子のために」
<ミャンマー>


 ザユが母親のカイカイの足元で遊んでいる。カイカイは今、妊娠8ヶ月だが、2年前に長男のザユを産んだ時よりも不安を感じない。専門的な訓練を受けた助産婦が、医療器具の詰まったかばんを抱えて村にやって来るようになったからだ。重力流式給水システムができ、往復2時間の道程を大きなおなかで水くみに行かなくても良くなったことも、この2年間に起きた大きな進歩だ。水道から流れ落ちる、水晶のように澄んだ水をバケツに受けながら、今度は女の子かしら、と笑う。

カイカイがザユを産んだ時は、危うく命を落とすところだった。カイカイの夫は、保健センターまで歩いて半日かかる道を、借りてきた荷車に彼女を乗せて運んだ。出産費の支払いには苦労したが、母子ともに生きて帰れただけ幸せだと言う。

ミャンマーの国境地域にあるここカヤ州では、山岳地帯に村々が点在している。このような地域では、出産時の母子の死亡率が都市部よりも高い。医療施設は大抵、古びた「小屋」といった体裁で、医薬品もほとんど常備されておらず、モンスーンの季節には浸水もある。保健員不足で一人が複数の村を掛け持ちしており、緊急時に間に合わないことさえある。

ユニセフはミャンマーで、カイカイのような母親が無事に出産できるよう、また、ザユのような子どもが健康で5歳の誕生日を迎えられるよう、支援している。物資による支援だけでなく、保健員や助産婦の訓練や、保健と衛生の知識を広める活動が重要だ。水源保護と安全な水の確保のために、衛生的なトイレの建設指導や重力流式給水システムの設置も行っている。1997年には3歳以下の子ども4万人に結核やポリオなど6種の予防接種を、妊娠出産年齢の女性9万人以上に破傷風の予防接種を行った。

「子どもの権利条約」が1999年11月20日、採択十周年を迎えた。その第6条には、「すべての子どもは生きる権利をもっている」と記されている。ザユも、今度生まれて来る妹か弟も、もちろん「すべての子ども」の一人である。

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