<2004年3月9日信濃毎日新聞掲載>
学校の水道施設充実 課題に
<ミャンマー>
後発開発途上国の認定を国連から受け、最貧国のひとつに数え上げられながら識字率は85%。経済的に困難な状況にありながらも、ミャンマーの人々の教育への高い関心が伝わってきます。
ミャンマーというと、映画「ビルマの竪琴(たてごと)」を思い出す方も多いのではないでしょうか。人口約5千万人で、民族グループが135。多民族国家のミャンマーは、映画の通り日本との歴史的な関わりがありますが現在、国は軍事政権が統治し、国民議会も開かれていません。そのことが西欧を中心とする先進諸国からの援助を受けにくくしています。自然資源に恵まれ、未来への希望は大きい反面、経済発展が遅れて人々の生活は厳しいものがあります。そして、その影響を最も受けているのは、子どもたちです。
安全な飲み水を手に入れやすくすることは、とりわけ大きな課題です。ユニセフによれば、ミャンマーでは10人に1人が5歳の誕生日を迎えることができません。このうち半数が、下痢など予防可能な病気が原因で命を落としているのです。また、学校の多くが学習環境が悪く、水道やトイレなどの設備が整っていません。ユニセフの調査だと、水道がない学校はミャンマー全国で80%にものぼります。水道設備がないことで、子どもたちの間で病気が流行しやすくなります。
学校にトイレなどの衛生設備があることは、子どもたち(特に女子)にとって、大きな影響があります。トイレがない家に長居できないのと同様、トイレのない学校には行きづらいものです。子どもたちが教育を受けるせっかくの機会なのに、そのことで制限されてしまうのです。
ミャンマーのすべての子どもたちに学校をやめずに通いつづけ、健康に育ってもらいたい。そのためには、子どもたちが行きたくなり、そして行きやすい学校づくりをしなければなりません。そんな学校づくりを目指して、ユニセフでは「水と衛生」プログラムを行っています。親や教師にも協力してもらい、井戸やトイレといった設備を整えて、子どもたちが安心して通える学校を提供しています。
子どもの教育に関心の高いミャンマーの人々の親心に応えるヒントが、私たちが毎日使う水にあるのです。
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